小学6年生2クラス48人の子どもたちと取り組んだ、青山健一さん(美術家)とのワークショップをご紹介します。

身の回りにある世界なら想像できるが、アーティストと出会うことで、「こんな世界もあるんだ!」と気づけるような機会をつくりたい、という先生からのリクエスト。アーティストという存在との出会いを大事にしたいとの想いを受けて、既存のギャラリーのみならず、劇場やライブハウスでも多彩な活動を展開中の美術家・青山健一さんと、絵を描くことに向き合う時間をつくりました。

まず初めは、青山さんの自己紹介から。体育館を暗くして5分ほどの映像作品を観る時間もつくりました。暗闇の中でじっと画面を見つめ、子どもたちの集中力が高まるのが感じられました。そのまま暗い中で「暗い体育館って良くないですか?」という青山さんの投げかけから、今日は「洞窟にいる一匹の長い謎の生き物」を描こうという話につなげていきました。謎の生き物なので、どんな形や色になっても良いけれど、一人一匹描くのではなく、「みんなで一匹」というところがポイントとなりました。

その後は、体育館の端から端まで敷かれた25mの真っ白な養生シートに、一人一色の絵具と一本の刷毛を持って、早速描いていきました。何を描いていいのか躊躇する子もいれば、何のためらいもなくどんどん筆を進めていく子もいます。そして描かれていく線や形にお互いが刺激を向けて、いつの間にかシートに乗って手や足が絵具だらけになる子もどんどん増えていきました。

一旦描き始めてからの子どもたちの勢いはすさまじく、5分、10分もすればあっと言う間に画面が埋まっていました。そこで一旦電気を付け、2階のギャラリーに上がって、全体像がどうなっているのかを見る時間を設けました。青山さんから「生き物に見えるかな?」と投げかけられると、それぞれに感じたところがある様子の子どもたち。勢いで描くことから、少し考えて、色やつなげ方の工夫、全体で一匹の生き物にするにはどうすれば良いか、一歩踏み込んで考えてから続きを描いていきました。


子どもたちは、反対色を重ねることや、輪郭や一本の長い線を使うこと、顔を創ってみることなど、お互いが描いているものを意識しながら描くようになりました。ただ勢いに任せるだけではなく、最初よりも少し落ち着いた雰囲気で、あちらこちらで相談し合う声が増え、綺麗なイメージになっているところは、それ以上手を加えないようにするなどの判断をしているところもありました。途中、青山さんが端から端まで絵の細部を投影して壁に写し、面白いポイントを伝えていく時間も取りながら、次第に全体で一つの絵として感じられるようになっていきました。

そして、最後は再びギャラリーに上がって明るい中で絵を眺めました。1回目に見た時とはまた違って、とても迫力のある謎の生き物が浮かび上がっていました。
自由に想いのままに描くことと、少し考えて絵に向き合うことと、その両方を経て生まれた大作に、アーティストもスタッフも清々しいエネルギーをもらい、感心しきりの一日になりました。

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青山 健一(あおやま けんいち)/美術家
http://www.children-art.net/aoyama_kenichi/

アートと出会えるおまつりとして、毎夏豊島区で開催されている『としまアート夏まつり』も今年で10回目となりました。7/2(土)~8/28(日)の期間、区内の様々な場所で企画が展開されます。
主催:としま文化創造プロジェクト実行委員会(豊島区、豊島区教育委員会、NPO法人アートネットワーク・ジャパン、NPO法人芸術家と子どもたち)
助成:一般財団法人地域創造
芸術家と子どもたちでは、7/22(金)~24(日)の3日間、にしすがも創造舎(音楽室)にて、以下の3つの親子向けプログラムを実施しました。
<1>7月22日(金)ものづくりワークショッフ&観劇
【『めっきらもっきらどおんどん』~観客と一緒につくるお芝居!~】
演劇ユニット「へんてこドロップ」による、観るだけではなく、参加者自身が主体的に関わりながら楽しめる、演劇との新たな出会いをつくるプログラム。絵本『めっきらもっきらどおんどん』(長谷川摂子作/ふりやなな画/福音館書店刊)を題材に、上演前のワークショップで妖怪エコバックをつくり、その作品を舞台美術にしたお芝居をみんなで観劇する2部構成でした。エコバックづくりでは、毛糸やフェルト、様々な色の端切れを使い、子どもも大人もどんな妖怪がいるかを自由に想像してつくっていました。家族や友だちと協力しながら熱中しているとあっという間に時間が過ぎ、できた作品はどんどん掲示していきました。後半は、たくさんの妖怪エコバックを背景に、生演奏やダンスも取り入れたお芝居を上演。手遊び歌を参加者と一緒に歌うシーンもあり、客席に近い舞台で、眼前で繰り広げられる迫力ある演技に、子どもも大人も身を乗り出して見入っていました。アンケートでは、「ワクワクする工作、出来上がった作品が背景になった驚き、渾身の演技」といろいろ楽しめて良かった!という感想をいただきました。
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<2>7月23日(土)アーティストとあそぼう!
【おやこDEダンス~ダンスのたねをさがそう~】
野上絹代さん(振付家・演出家・俳優)による、親子のためのカラダあそびワークショップ。まずは親子で身体をさすり合ったり、ギュッとハグし合ったりして身体をほぐしたら、フラフープやネット、椅子などを丸く並べた「おさんぽサーキット」に挑戦。サーキットを何周もした後に、何もないところで“おさんぽ”の動きを再現してみると、ネットのクモの巣をくぐったり、縄跳びの小川を飛び越えたり…、様々な動作の連続から、豊かなダンスが紡ぎ出されました。休憩後には、アーティストがスズランテープでできた衣装をまとい「ざわざわさん」として登場。「人の心をざわざわさせるのが好き」な、「ざわざわさん」の声掛けで、親子で協力しながらスズランテープを思う存分使い、会場を色とりどりの“ざわざわ空間”に生まれ変わらせました。大量のテープの束を皆で持ち上げたり、テープの海に寝転んだりと、ひとしきり楽しんだら、最後は親子マッサージでクールダウン。参加者からも「日頃の動きがダンスになるとは思わなかった」いう感想があったように、ダンスは決して難しいものではなく、大人も子どもも夢中になって身体や心を動かすことが“ダンスの種”になる、そんなことを実感できるひと時となりました。
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<3>7月24日(日)のんびりゆったり教室でミニライブ
【親子で楽しむぷちライブ!】
ギターやカシオトーンの音色に歌声を乗せ、言葉を積み木のように操るうたを得意とする音楽ユニット「まいわい」による、0歳から楽しめる親子向けライブ。一曲目は窓を開けて、お客さんと一緒に外から聞こえる風の音や鳥の鳴き声に耳を澄ませながら、しっとりした曲でスタート。『つき』や『かごめかごめ』など、馴染みのある遊び歌などをアレンジした楽曲を織り交ぜ、リラックスして楽しめる雰囲気がつくられていきました。オリジナルの新曲『みるしかく』では、参加者も一つずつ楽器を持って演奏で参加。子どもも大人も様々な音色を自由に奏でるとともに、アーティストの指揮に合わせて周りの音も聞きながら、会場全体で一つの音楽をつくりました。また、九州地方の手遊び歌をアレンジした曲では、一見難しそうな手の動きも、歌いながらだとなぜか自然にできてしまう、という音楽の力に感心しました。じっと静かに座って聞いているだけではない「ぷちライブ」では、子どもたちが思い思いに過ごす姿もライブの一部。アンケートでも、「一番落ち着いて見ていられない歳ですが自然に走り回って聞けたのが親子ともどもHappyでした!」などの感想をいただきました。
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ドロップ/演劇ユニット
http://www.children-art.net/drop/
へんてこ/演劇ユニット
http://www.children-art.net/henteko/
野上絹代(のがみ きぬよ)/振付家・演出家・俳優
http://www.children-art.net/nogami_kinuyo/
まいわい/音楽ユニット
http://www.children-art.net/maiwai/

にしすがも創造舎のクロージングイベント「みんなで過ごす2日間」のワークショッププログラム、「タネくんのふわふわ空さんぽ」が、夏の陽射しを感じる青空の下で開催されました。これまでグリグリの畑で、植物とのふれあいの場をたくさんつくってくださったアーティストのカブさん(美術家・深沢アート研究所緑化研究室代表)をお迎えし、午前・午後の全4回、親子でタネくんとの空さんぽを楽しみました。
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ワークショップは、カブさん手づくりの紙芝居の読み聞かせからスタートしました。
遠い場所から飛んできたタンポポくんと出会い、「ボクも知らない場所へ行ってみたいな」と思ったタネくん。子どもたちは、タネくんの想いとともに、空さんぽに向けての準備に取り掛かりました。
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クローバー、ポピー、ひまわり・・・テーブルに並んだいろんな種類の植物の種。初めて見る色や形に興味津々になりながら、子どもたちはじっくり観察してみたり、手触りを確認したり。お気に入りの種と土を袋に包み、絵を描いたり紙テープを貼ったりすれば、自分だけの“タネくん”のできあがりです!
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続いてタネくんを、ふわふわ浮かぶ白い風船におもりのようにくっつけて、空さんぽの準備をします。配られた風船は一人一つ。空高く飛んでいってしまったり、地面に張り付いて動かなくなったりしないよう、ちょうどよい“ふわふわ”を探して、タネくんを重くしてみたり、飾りを軽いものにしてみたり、みんな試行錯誤していました。
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風船にも絵を描いたり、カラフルな紙テープなどで飾りつけをしたら完成!ニコニコ顔の風船や、かっこいい新幹線の飾りがついた風船、太陽の光でキラキラ輝く風船などが出来上がりました。さあ、風船の紐の先につけた輪ゴムに手を通して、タネくんとの空さんぽに出発です!元気に走り周ったり、ゆったり“ふわふわ”さんぽを楽しんだり。それぞれ、タネくんとの時間に夢中になっている様子でした。
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お天気にも恵まれ、ふわふわと漂う風船に囲まれたテントの中、開催された今回のワークショップ。ワークショップが終わった後も、あちらこちらで、オトナも子どももタネくんとの空さんぽを楽しんでいる姿が見られました。お家に連れていってもらったみんなのタネくんは、新しい場所で、どんな芽を出してくれるのでしょうか。
にしすがも創造舎のフィナーレとともに、2005年からスタートしたグリグリ・プロジェクトもフィナーレを迎えます。これまで活動に参加してくださった方々、応援してくださった方々、本当にありがとうございました。にしすがも創造舎での活動は終わってしまいますが、風船をつけてもらったタネくんのように、グリグリの活動が、あちらこちらに広がっていき、新しい芽を出してくれたら嬉しいです。
※にしすがも創造舎のフィナーレ 特設サイト
http://sozosha.anj.or.jp/finale/
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カブ/美術家・深沢アート研究所 緑化研究室代表
http://www.children-art.net/kabu/

読んだ絵本:『ぽぱーぺぽぴぱっぷ』『おなべふ こどもしんりょうじょ』『もこもこもこ』『ちょっとまって』『おばけのてんぷら』など
早くも夏の訪れを感じるような陽気となった5月の日曜日。にしすがも創造舎のクロージングイベント「みんなで過ごす2日間」の一つのプログラムとして「読んで遊んで えほんの会 フィナーレ」を開催しました。2006年度から152回続けてきたえほんの会も、建物の移転に伴い、最終回を迎えることとなった次第です。最後ということで、久しぶりにお越しくださったお客さんも、初めて立ち寄って下さったお客さんも、いつも以上にたくさんのお客さんで教室が賑やかな声に包まれた一日でした。
始まりは『ぽぱーぺぽぴぱっぷ』。えぽんずメンバーの、ピアニカとコントラバスの演奏から、自然とお話が始まりました。言葉の意味よりも響きを楽しむような不思議な擬音語がたくさん詰まった絵本なので、まるで音楽を聞いているようなひと時でした。その後は、少し身体を動かしてリラックス。季節も良いので、ぐんぐん芽が出る動きを身体でやってみた後に、2冊目の絵本『どんどこ』を読みました。

いろんな野菜が出てくるお話で、葉っぱの絵を見ただけでも「大根!」「ごぼう!」など、何が出てくるか考えて教えてくれる子どもたち。だんだんクイズのようになっていき、当たった時は大盛り上がり!みんなの気持ちも温まったところで、読んで欲しい本を聞いて、3冊目は『ずかん じどうしゃ』。今日はどんな乗り物に乗ってきたかをみんなに聞きながら、色々な車の絵を見ました。
そして4冊目は『おなべふ こどもしんりょうじょ』。「おなべふ」というわらべ歌を元にしたお話です。「おなべふ おなべふ」と唱えるようにうたいながら、親子でお子さんの腕をマッサージしてもらったり、子どもたちに診療所に来る子どもの役をお願いしたり、みんなで一緒にお話を読み進めました。

そして午前の回の最後は『はらぺこあおむし』。お腹を空かせた青虫が、赤い服を着ている子はリンゴ、といった風にお客さんをどんどん食べに行きます。「ここにあるよ!」と食べ物と同じ色の服を来た人を教えてくれたり、「食べて欲しい!」と言わんばかりに服を見せてくれたり、ここでも子どもたちが大活躍でした。
午後の部は、みんなで輪になってお互いの顔を見合うことからスタート。手をつないで波の動きを隣の人に伝えるような身体ほぐしをしてから絵本の世界に入っていきました。『ちょっとまって』という絵本では、友だちの家にお使いに行くネズミの「シムくん」が、行く先々でいろんな動物に伝言を頼まれてしまい、それを忘れないよう、ミミズのことは緑という具合に、色とりどりのリボンを結んでもらうというお話。えぽんずメンバーの身体に実際にリボンを結んでもらいながら読んでいき、子どもたちも手伝って、一緒に伝言も覚えてくれていました。

続いても、動物のお話で『もりもりくまさん』。これも音楽に乗せてうたうようにクマさんのお散歩が語られました。子どもたちも立ち上がって一緒に「ウワァ!」と身体を動かしながら楽しみました。
そしてみんなに楽器や身体で音を出してもらって一緒に読む『ドオン』という絵本も。お客さんを半分ずつ、鬼チームと人間チームに分けて大きな音を出し合う場面もありました。最後に全員で大きな大きな音を出した後、みんなで息を合わせて「ドオン!!!」。その後に一瞬の静寂が訪れたところから、次第に笑い声が広がっていきました。

最後の締めくくりは『おおきなかぶ』。まずは大きなコントラバスをカブに見立てて、なかなか抜けないカブを引くための助っ人を大募集。おじいさん、おばあさん、孫に猫に犬、ネズミ、と手伝ってくれる子どもたちが連なって、みんなで「うんとこしょ どっこいしょ!」の大合唱。カブが抜けたら、大きな白い布が登場し、みんなにその布の下に入ってもらい、しばし大きな布と遊んで会を終えました。
子どもも大人も、これまでこの場所に足を運んで下さった皆さんが、えぽんずと一緒に、たくさんの色とりどりの豊かな絵本の世界を広げて下さったことに、改めて感謝の気持ちでいっぱいになる一日でした。「またこの場所に来たい!」「この場所が大好きです!」と言ってくださる皆さんの想いと、これまで積み重なって来た出来事たちが、にしすがも創造舎という場所が無くなっても、それぞれの心の中で、それぞれの形で何かしらつながっていくものがあれば良いなあと願っています。これまでの10年間、えほんの会をとてもとても温かく、優しく支えて下さり、本当にありがとうございました!
※にしすがも創造舎のフィナーレ 特設サイト⇒http://sozosha.anj.or.jp/finale/
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☆5月のえぽんずさん:赤羽さや香さん(俳優)、榎本純子さん(俳優)、後藤勇さん(コントラバス弾き語り)、櫻井拓見さん(俳優)、鈴木燦さん(俳優)、たけうちみずゑさん(俳優)、飯田博子さん(ダンサー)

読んだ絵本:『ハエくん』『にゅるぺろりん』『どこいったん』『ことばあそびうた』『だるまちゃんとてんぐちゃん』など
春の暖かさを感じるようになったなと思っていたのに、また冬の寒さが戻ってきた3月の日曜日。あいにくの曇天でしたが、今年度最後のえほんの会も、賑やかなお客さんと一緒に心温まる一日となりました。今回のえぽんずメンバーは、榎本純子さん、鈴木燦さん、たけうちみずゑさん、後藤勇さん。年度末なので遊びに来てくれた他のえぽんずメンバーも、飛び入りで助っ人に登場して会を盛り上げてくれました。
会の始まりは、身体ほぐしから。手足をぶらぶらしたり、ゴロゴロ寝転がったり、初めましての子どもたちも、身体を動かしながら少しずつリラックス。すると、不思議な動きを始めるえぽんず。そこから絵本の世界の始まりです。

一冊目の絵本は『ハエさん』。「ぶ~ん」とハエのような?動きで部屋を動き回るえぽんずに、子どもたちはちょっぴり驚いた眼差しを向けていましたが、ハエがトイレを旅する少しシュールなお話は大人もクスッと笑ってしまうものでした。その後も、お話に身体の動きもつけながら絵本の世界を広げていったところで、4冊目は関西弁のクマさんが登場する『どこいったん』。赤い帽子を探して、いろんな動物を訪ね歩くクマさん。お客さんにも朗読に参加してもらい、みんなで帽子の行方を捜します。関西弁のぬくもりにほっこりもしますが、帽子を持っていたウサギさんの行方にちょっぴりドキッとするお話でした。

そして続いてもクマさんが登場する『もりもりくまさん』。森一番の力持ちのクマさんが、蒔き割りをしたり、はちみつを探したり、森での出来事が綴られるお話を、歌うように読んでいきます。楽器の音やリズムに合わせて自然と身体も動き出し、「ワオ!」というかけ声ではみんなでジャンプ!身体全体でお話を楽しみました。最後には、子どもからのリクエストで『だるまちゃんとてんぐちゃん』を読んで午前の回を終えました。
午後の部も、身体ほぐしからスタート。午前の部より少し人数も少ないので、ゴロゴロ、伸び伸び身体をゆったり使ってほぐしました。そして午後の一冊目は『にゃーご』。ネコの怖さを知らない子ネズミ3匹が出会った大きなネコは良い人悪い人?「にゃーご」という鳴き真似までしてネコと仲良くなろうとするネズミに、ネコさんもいつの間にか優しくなってしまいます。お客さんとも「にゃーご」と一緒に声を出して楽しみました。

後半には雨の絵本が2冊。『Rain』という絵本は、お客さんにも打楽器で参加してもらいます。足踏みや手拍子、タイコにピアノ、タンバリンなどでリズムを刻んで雨の世界を表現。動物たちが雨を楽しむ様子を読みながら、ジャングルが目の前に現れたようでした。大きなパラソルも登場して、みんなで傘の下で雨宿り。子どもたちには雨が見えているようで、雨が止んで鳥の鳴き声が聞こえたり木々が芽吹いたりする様子も想像できたかなあ、と思います。
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そして最後の最後には、久しぶりに遊びに来てくれたお子さんが、自分で考えたお話を飛び入りで披露してくれました。他の子どもたちも巻き込んで、ほっこり心が温まる素敵な時間をつくってくれました。
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☆3月のえぽんずさん:榎本純子さん(俳優)、鈴木燦さん(俳優)、たけうちみずゑさん(俳優)、後藤勇さん(コントラバス弾き語り)

小学6年生2クラス62人の子どもたちと取り組んだ、中山晃子さん(美術家)のワークショップをご紹介します。
完成させることや何かに縛られてつくるのではなく、その場で立ち上がってくるモノやコトを楽しみ「アートってすごい」と感じられるような場や、アーティストとの出会いをつくりたい、という先生からのリクエスト。
「なぜ絵は乾いてしまうのだろう」という疑問から、様々な絵具や素材が相互に反応し変容し続ける姿を”Alive Painting”として描く中山晃子さんと、各クラス90分間のワークショップを行いました。まるで生き物のように動き続ける液体、絵と音が呼応していく時間の流れ、変容するモノとコトをつくり出し眺める時間から、子どもたちは何を感じたのでしょうか。
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真っ暗な体育館に入ったら、早速中山さんのパフォーマンスが始まります。挨拶も説明もないのでスクリーンの謎の映像を見て「何これ?」など小声で話す子どもたち。しかし、音が鳴り始め、映し出された絵が動き始めると、あっという間に集中していきました。何がどうなっているのか気になって、中山さんの方を覗き込もうとする子もちらほら。15分ほど経ったところでパフォーマンスを中断し、中山さんが簡単な自己紹介と、作品がどうやって描かれているのかを説明しました。
その後は、再びパフォーマンスを見る時間。でも、今度は「座っていなくても良いから好きな場所でどうぞ」と中山さん。その途端に中山さんの真横に陣取ったり、並べられた絵具の周りに集まったり、それぞれが興味の赴く場所で絵を眺めていました。
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子どもたちの中にもいろいろな想いが湧いてきたところで体育館を明るくして、改めてどんな道具があるのか、子どもたちの質問も受付けながら機材の仕組みや材料の説明をしました。普段見慣れない形の瓶もあり、外側を見るだけでは何が入っているのか分からないものも。「ここにあるのは、何かアクションを起こすと何かを起こすもの」と中山さん。いわゆる絵具だけではなく、粉や墨汁、油なども用意されていて、子どもたちは「これ何だろう?」と気になるものをどんどん手に取ったり、質問をしたりしながら、自分たちで描く時に使いたいものを選んでいきました。
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後半は、選んだ絵具などを使い「一筆入魂」ということで、一人一筆(もしくは一振り)ずつ絵を描いていきました。それぞれの材料の特性によって画面上に様々な反応が生まれ、前の人が描いた跡を意識しながら描く子や、自分の気持ちで思い切って筆を動かす子、それぞれのやり方で描いていきました。事前にスタッフが予想していたよりも、子どもたちは迷いなく、でもそれぞれの想いを乗せて、一筆一筆色を置いていました。子どもたちは、画面で起こる変化や反応に「おお!」「きれ~い」と時折感嘆の声も挙げながら、どんどん絵を描いていきました。
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一通り体験した後は、次に何がしたいか子どもたちに委ねました。絵具に興味がある子は2つめの絵具を選んで続きを描き、それ以外にも好きなやり方で絵に関わっていきます。スクリーンの裏側に回ってただただ眺めている子、スクリーンの前に身体の影を映してみる子、タブレット端末を使って写真を撮る子など。また、途中で音の仕組みの説明もしました。絵を描いている間に流れる音楽は、既存の楽曲だけでなく、その場で加工したり、作業の音を拾ったりしてつくられているのです。普段の声を拾うマイクではなくて、作業をしている手元の音を拾うマイクや、その音にエフェクトをかけて時間を遅らせて再生できる機械の説明なども。音に興味を持った男の子たちは、機会をいろいろさわって試しながら、まるでジャングルのような音風景をつくり出していました。
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思い思いの時を過ごしたワークショップの中で、中山さんは絵具についても丁寧に話をしました。長い年月をかけてつくられる鉱物や宝石からできている絵具は、人間が加工したものでもあるけれど、生き物であり「バサッと出した時に、その絵具の山は人間のたくさんの文化の中で実はできていたものなんです」と。「この(絵具の)山が一体何年かけてつくられているものなのか。一体、いくら分のモノが、ここに、あるのか。でも何で線を描くのか」と子どもたちに問いかけました。
振返りでは、先生から「ここを見なさい」という大人の指示ではなく、子どもたちそれぞれの見方が広がっていたとの感想をいただきました。中山さんとの出会いを通して、一人ひとりの中に、ザワザワとした何かが、少しでも生まれていたら良いなと思います。動き出していないように見えた子たちの中には何が起こっていたのかな、と想像を膨らませつつ、何かを感じて動き始める気持ちをじっくり、ゆっくり待つ楽しさを思い返しています。
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中山 晃子(なかやま あきこ)/美術家
http://www.children-art.net/nakayama_akiko/

人形劇:『本』『へんなじゅうたん』『歯医者』『モコちゃんのマジックショー』
朝晩は随分と冷え込むようになりましたが、12月のえほんの会はポカポカ太陽に見守られて、ほっこり温かい一日となりました。今回は「人形劇」がやって来たえほんの会。物語の味わい方には様々な方法がある事を改めて思い出させてくれる人形劇。子どもはもちろん、大人にとっても新鮮な時間になっていれば良いなあと思います。
さてさて、最初はまずご挨拶。えぽんず・田中さんの人形(軍手で出来ています!)と一緒に挨拶をした後、チョウチョに誘われて、早速人形劇の世界が始りました。

登場したのは何やら「本」を読んでいる女の子。女の子が本を忘れて立ち去ってしまうと、入れ替わり立ち代わりいろんな動物がやってきます。感動して泣いてしまうキツネもいれば、笑い転げるウサギに、退屈そうにあくびをしてしまうオオカミも。さてさて、どんな本を読んでいるかと思ったら?本を取り来た女の子がタイトルを見せてくれるとクスッと笑ってしまう、という『本』(作:V・シュテーイン)でした。

二つ目のお話は、『へんなじゅうたん』(作:V・シュテーイン)。絨毯を見つけた猫との不思議なやりとり。言葉はないけれど、猫と絨毯の動きを子どもたちも真剣に見守っていました。

三つ目は、『歯医者』。原作はモスクワの『グローブス』というお話だそうです。ニョキニョキッと出てきたのは人の手。歯医者でいやいや口を開けてグウィーンとドリルで治療されるドキドキが、手の動きだけで軽妙に表現され、音も本物のドリル使っていたので、臨場感たっぷりでした。
そして最後は素敵なマジックショー。クマさんがたくさんのマジックを披露してくれました。マントから突然飛び出すカラスや、入れても入れても溢れない不思議な水。子どもたちは「何で?」と目が釘付けです。楽しくなって来て、身体もどんどん前々へと進んで行く子どもたち。人形劇の世界をたっぷり楽しんでくれた様子でした。

終わった後のアンケートには、「音や簡単な言葉だけでたくさんの表現がされていたので、本当に感動しました。また、そのためか子どももたくさん考えていたのか、一生懸命に見ていました」という感想をいただきました。子どもたちの真剣な眼差しに、言葉で説明しなくても頭の中にはいろんな景色や物語が広がっているんだろうなあ、と想像する力を大事にしたいと改めて感じた一日となりました。
さて、次回のえほんの会は年明け2016年の3月を予定しています。詳細は決まり次第HPなどでご案内いたしますのでこれからも「読んで遊んでえほんの会」をよろしくお願いいたします!
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☆12月のえぽんずさん:田中晶さん(俳優)
ゲスト:知田庸子さん、大井弘子さん、石関沙江さん

※後日、記事の内容に沿った写真の掲載も行います。
★『お祭りやろう!』ワークショップ最終日(発表会)★
8日間のワークショップも今日が最終日そして発表会です。初めて楽屋に入った子どもたちは朝から興奮気味でした。
まずは、それぞれが衣装を動きやすいように直したり、模様を描き足したりしました。
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それから集合して、シーンの最初から練習しました。グループごとにやっていたおまじないは、みんなでできるように合わせました。ところどころトチアキさんが、場所や向きをなおしながら、誰に向かっておまじないをしているの?と子ども達に声をかけ、本番はお客さんに見せるだけじゃなくて、うんと効き目があるように本当におまじないをかけるのが大切だと教えていました。
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次のリハーサルは、子ども達が考えてきた特技を、やりたい人から順に真ん中で披露しました。昨日までの恥ずかしがったり嫌がっていた様子はどこかに消えて、やりたいという手が次々に上がりました。二重飛びや、ブリッジ、公文、ヴァイオリンなど、さまざまな特技を見せてくれました。
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それから、真ん中に吊るしてある分身を揺らすための、二つの作戦を確認しました。
一つは熱あげシート隊の全員バージョン。三つに分かれて左右からの部隊と真ん中の部隊をつくり、それぞれの部隊で話し合ったりしてより効果がでるように工夫しました。
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もう一つはヒップホップの曲をかけて、ランニングマンをしました。みんなで輪をつくり、指を指している方向を真ん中の分身に集めて、一生懸命音楽に合わせて左を向いたり右を向いたりして踊りました。子ども達は時間がおしているなかでも、集中して取り組んでいました。
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そのあとは、楽屋に入って、衣装に着替えました。子ども達はてきぱきと着替え、おとなに帯を締めてもらっていました。衣装を着たあとは、神さまにあげたいもの(公園で拾ったもの)をそれぞれ持って、入場する扉の前に並びました。
さていよいよ本番です。最初のおまじないこそ緊張の面持ちがあった子どもたちも、特技を披露するコーナーではリラックスしながら、他の子の特技を見て楽しんでいるようでした。本の朗読では、会場が一体感に包まれました。全員の特技を見ることができよかったと思います。
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最後の氷オニは、8日間のワークショップ期間中にやらなかった日はないくらいに、子ども達の大好きな遊びです。本番にできたことによって、今までワークショップでやってきたことが子ども達のなかで繋がると良いなと思いました。
記事:平野さりあ
撮影:羽鳥直志
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≪8日間記事を書いてくれた、レポーターの平野さりあさんより≫
今回、8日間レポートを書かせていただいたことは私自身にとって貴重な体験と発見でした。このワークショップはそれぞれの体験と発見があり、捉え方はさまざまだと思います。その全てを書き表すことは難しく、その”言葉で表せない”体験が重要であり、やることの意義だと感じました。8日間のご精読、ありがとうございました。
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≪トチアキタイヨウさんより、発表会に関しての補足≫
『お祭りやろう!~見えないものに出会うための自由研究』 2015.7.30~8.9(8日間)
「神さまって何だろう?どうやったら会えるだろう?」という問いをもとに8日間のワークショップを行い、最終日に公演形式の発表と展示をもって報告とした。
■舞台
会場となるホールは体育館のようなフラットな床、舞台もあるが使用せず、ホール中央には白のシート(5.4mx3.6m)が敷かれ四隅に紙でできた茶色い塚、観客は取り囲むように座布団または椅子に着席。
上空には斜めに紐が張られ、紐には紙で作った「分身」と呼ばれるひとがたが40体ほど吊り下げられ揺れている。
■展示
奥の壁面にワークショップのレポートを中心とした展示(1mx14m)。
■衣装
身を隠し、守るための装束。自分で考えた魔よけの紋様を描いた紙で、顔を含む全身を包み、頭には身代わりとして紙でできた小さな分身を乗せている。
■構成
日本のお祭りの一般的な形式に倣って、神さまを呼ぶ、一緒に楽しむ、占ってもらう、帰ってもらうという構成。
0、場を整える
1、入ってくる
2、呼ぶ(おまじない)
3、共に楽しむ(特技の披露)
4、神託(遠くのものを揺らす、遊びと占い)
5、帰ってもらう
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トチアキ タイヨウ/ダンサー・俳優・演出家
http://www.children-art.net/tochiaki_taiyo/

★『お祭りやろう!』ワークショップ七日目★
今日は、はじめの30分で衣装直しとてっぺんにつける分身をつくりました。その後、トチアキさんから本番の構成の話がありました。本番どんなことをするのか気になっているようで、子ども達は盛んに質問をしていました。また、お客さんのなかに、もしかしたら、かみさまや霊、死んだ人がいるかもしれないという話がありました。それによって、じぶんのひいおじいちゃんやひいひいおじいちゃんの話をはじめる子もいました。「じぶんはどこからやってきたの?」という質問に対して、子ども達は、「お母さんのおなかの中」や「細胞」、「じゃあその前は?」とさらにさかのぼった質問に対しては、じぶんがやってきたのは、「海」、「天国」等々という答えが返ってきました。反対に死んでしまった後に対しては、「焼かれる」、「骨でアクセサリー作る」等の意見と、生まれ変わるごとに宇宙人、世界人、さいごには、神さまや天使や悪魔になっていくのだと話している子もいました。
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午前中の最後に、前に隠したじぶんの分身を探しに外へ行きました。前日に雨が降っていたことや、掃除されたりしている可能性を懸念していましたが、実際に行って探してみると、たくさんの分身が残っていました。白い紙で作った分身の中には草色になっているものもありました。その後は、神さまにあげたいとびきりなものをそれぞれ拾いました。せみのぬけがらや、小石、小さなお花などがありました。
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昼休憩
昼休憩後は、各おまじないのグループに分かれて、みんなでできるように少し変えたり整えたりしました。そして、本番の構成をとりながら、各グループのおまじないを、みんなで順番にやりました。その時の担当をしているグループ以外の子達は周りを囲みながら、そのおまじないを見守りつつ、サポートをしました。全員が参加することによっていままでグループでやってきたおまじないの力が、強さを増したようでした。
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★『お祭りやろう!』ワークショップ六日目★
今日はおまじないの衣装づくりの続きをしました。表面には模様や文様をペンで描きました。なかには、目が分からないようにたくさんの目を描いたり、じぶんの着ている姿を描いて、どこにじぶんがいるのかを紛らわせるような模様を描いている子もいました。描いたりするのは特に楽しいようで、描き悩むこともなくインクがなくなるまで描いていました。頭のてっぺんにつくる分身は、じぶんの身体の一部や身につけているものを少しくっつけたりしてじぶんになるべく似せてつくりました。ある程度できたところで、衣装の上から着物の帯を巻いて、その姿で動いてみたりしました。
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昼休憩
休憩後は、本番のお祭りのことについての話をしました。劇やダンスは何を見せているのか、人に見せるって何だろう、という問いかけと、大事なのは”違う世界をつくる”ということ、本番という時間は、練習や他の時間とは異なる時間、異なる空間なので、神さまを呼ぶという行為をすることと繋がっているといった話でした。
その後は、おまじないを考えたグループに分かれて、そのおまじないを、もっと広い範囲に向けたものに変えました。昨日考えた手順をベースにしながら、より効果的になるように工夫をしました。
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順番におまじないをホールの真ん中で発表しました。
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●おまじない1
[呪文]9Kへアカモン “9”…棚の段数、“K”…神の頭文字、“ヘア”…髪の毛の仕掛け、“カモン”…呼ぶ
[手順]はじめに手で拍子をとってから、今度は足で拍子をとります。呪文を唱え、ポーズをしながら一歩ずつ歩きます。死んだふりをしてから、起き上がると同時に紙袋で作ったお面をかぶり顔を隠します。起き上がると、大きな声を出したり、うめき声をあげたり、走りまわったりします。手で拍子をとりながら、再び真ん中に集まります。
●おまじない2
[呪文]ガラガラガラガラガラ(息が続くまで)ガッチャン
[手順]神さまを呼ぶ為のしるしをからだのどこかに貼っておきます。次に「私たちは人間です。悪いことはしません。」と言って、“神さまメガホン”でみんなで呪文を息が続くまで唱えます。最後に、「神さまおいで?」と言います。
●おまじない3
[呪文]にうよすまえあにまさみか
[手順]魔方陣のかかれた紙を床に置いて周りを囲みます。ゆっくりと周りを歩きながら、呪文を唱えます。一回呪文を唱えるごとに、持っている人型を魔方陣の中へ落としていきます。全員分の人型を落とすまで続けます。
●おまじない4
[呪文]神さま天使出ておいで
[手順]最初に大縄跳びをします。跳ぶ瞬間に、一人目は“神さま”二人目は“天使”三人目は“出ておいで”と言います。次に、大縄のそばに置いてある、お絵描きおまじないの紙等の上に1人が立って、大縄を跳んでいる子のタイミングに合わせて、呪文を唱えます。それを人数分繰り返します。
おまじないの振り返りをしながら、明日に向けて、じぶんの得意技を披露しようというお話がありました。
記事:平野さりあ