MENU
前のページへ戻る

障害のある子どもたちとの活動ASIAS for Disturbed Children

表現やコミュニケーションの新たな可能性を探る

2008年より、芸術家と子どもたちでは、特別支援学級をはじめ、障害のある子どもたちとともにたくさんのアーティストによるワークショップの場をつくってきました。その中で発揮される、彼らの独創的で刺激的な発想や表現に、アーティストが目を見張り、息を飲み、嫉妬の念すら持ってしまう瞬間に、私たちはこれまで幾度も立ち会ってきました。

残念ながら現代の日本では、普段の日常生活において、周囲とうまく馴染めなかったり、生きづらさを感じていたりする彼らは、「マイノリティ」としてとらえられ、分断されてしまいがちです。そんな環境で育った彼らの中には、少なからず劣等感を抱え、自己肯定感を持てずに苦しんでいる子どもたちがいることも事実です。

しかし、自分は「普通」と思っている人も、ある局面では「マイノリティ」になったりと、このような境界線は、その時々で変化しうるものです。むしろ、「マイノリティ」の考え方や行動にふれ、多様な価値観を認め合うことが、新しい表現やコミュニケーションが生まれるきっかけとなりそんな独創性を持った彼らこそが、これからの社会を支え、動かしていくのではないかと考えています。

私たちはこれからも、子ども一人ひとりが他者との違いを認め合い、そこから一緒に何かを生み出す場をアーティストとともにつくっていきます。

“表現者”として紡ぐフラットな関係

アーティストは、子どもたち一人ひとりの表現は皆違うという前提に立っています。違いを認め合う環境が整えば、子どもたちは思う存分自分を表現します。普段の生活では、どうしても(特に学校では)こういう答えが模範解答で、こういう子どもがいい子、あの子は変わっている、あの子は〇〇ができない…というような既成概念にとらわれがちです。でも、アーティストという異分子が入ってきて、普段と違う授業をして、彼の言う“面白い”ことは、普段と少し違うようだ、ということが徐々に分かってくると、子どもたちの表現は少しずつ自由になっていきます。また、アーティストは先生ではないので、最初から教えるー教えられる、という関係を求めていません。アーティストと子どもたち、そしてそこに参加する教員も含めて、関係性がフラットになることも、豊かな表現を生み出す環境をつくるのです。ASIASでは、自分と他者との違い、考え方の違い、身体的な違い、表現の違い、などを無意識のうちに感じ取って、そこから新しい何かをみんなで生み出します。そこでは、障害の有無など、あまり意味を持たなくなってくるのではないでしょうか。

独特な身体感覚から生まれる表現の豊かさ

ASIASでは、子どもたちがとても敏感に周辺の刺激に反応し、影響を受け、どんどん身体感覚を研ぎ澄ませていく様子がわかります。様々な刺激を身体にインプットした結果として、アウトプット=表現が生まれるのです。そして、それらの感覚は、一人ひとり、子どもによって大きな差があります。特に自閉症の子どもたちは、独特の身体感覚を有していることが多いです。それゆえに、普段の生活に支障をきたす子どももいますが、ASIASでは、その感覚が特異な才能として発揮されることがあります。細部にこだわってしまい、全体を見ることが苦手な子が、とても微細な素晴らしい絵を描いたり、聴覚が過敏で、一般の人が聞き逃しているような周波数の音まで聞こえているような子が、彼にだけ聞こえる音楽で身体をゆらしたり…。大事なことは、自閉症児も一人ひとり感覚が違うという至極当たり前のこと。自閉症児であれ、そうでない子どもであれ、ASIASでは、“彼らがいま何を感覚的に感じ取っているのか”を、丁寧に寄り添って読み解いていきます。そうすることで、他の子どもたちも、自分では気づかなかった新しい感覚と出会い、そこからまた新しい表現が生まれていくのです。

★こちらの冊子もご覧ください★
「特別支援学級ワークショップについての座談会 報告・記録冊子~インクルーシブ教育の理念に基づいた活動に向けて~」

 

当団体では、すべての事業において、障害のある子どもたちの参加をお待ちしております。
ワークショップ実施・参加のお申込みは、
下記、各事業の詳細ページよりお願い致します。

 

ASIAS(エイジアス)

学校教育の現場

アーティストが公立小中学校へ出かけていって、先生と協力しながらワークショップ型の授業を実施する活動です。

詳しくみる

児童福祉の現場

アーティストが児童養護施設等に出かけていって、職員の方と協力しながらワークショップを実施する活動です。

詳しくみる

矯正教育・医療・地域の現場

アーティストが少年院や小児病院、地域の子どもの居場所に出かけていって、職員の方と協力しながら、ワークショップを実施する活動です。

詳しくみる

PKT(パフォーマンスキッズ・トーキョー)

10日間程度のワークショップを重ね、子どもたちが主役の舞台作品をつくり、発表する事業

ぞうしがや こどもステーション

小さいお子さんと一緒に、ゆったりアートを楽しみながら参加者同士で交流できる地域の交流拠点です。

具体的な活動の様子はこちらから