芸術家と子どもたちとは?

代表者より

1999年秋、私がASIAS(エイジアス)を始めようと考えた当時、外部の人間が公立小学校に行って授業をすることは、まだまだ珍しいことだったと思います。「子どものワークショップ、やるのは良いけど、学校の授業でやるのは無理じゃない?」と友人から言われたことを覚えています。でも、さまざまな環境にいる、ごく一般の子どもたちに出会うのに、学校をはずして考える手はない。学校は子どもたちにとって、日常の生活の場でもあるはずです。アーティストのワークショップを、イベント的に公募でやっても、おそらく来る子はいつも同じ。そういうところに来るような子ではない子どもたちにこそ、アーティストと出会わせたい…という思いを抱きました。

実際に、学校現場の先生方に会って話していくうちに、意外とそのハードルは高くない、いや、いま急に低くなりつつあるのでは?もしかして学校の先生方もこういった機会を待っていたのでは?と感じ始めました。ネットワーク(外部人材)とお金(講師料)、この二つがネックになって、学校の先生方は思いがあっても、プロのアーティストとの共同授業を実現できない。ならば、私が間に立って、この二つを何とかしよう!と。幸い私には、子どもと何か面白いことをしたいと思っているアーティストとのネットワークはすでにあり、あとはお金だ!ということで企業をまわったところ、すぐに社会貢献として協賛金を出してくれる企業が見つかりました。

そして2000年に年間7校の小学校で延べ11日間の授業を実施したASIASは、10年後には年間58カ所の小・中学校や幼稚園・保育園で、延べ198日間の授業・ワークショップを実施するまでに事業を拡大することができました。その間に、多くの子どもたち、多くの学校・幼稚園・保育園の先生方、そして多くの現代アーティストたちと出会いました。
活動を続けながら、ASIASの真の意義は何なのかを、常に自分自身に問いかけています。学校教育の現場には、本当に熱心に子どもたちのことを思う先生方がたくさんいることを知り、先生方がいま何に苦労しているのかも徐々にわかってきました。屈託のない笑顔を見せてくれる子どもたちが多いですが、その反面、決して少なくない数の子どもたちが厳しい環境の中で育っていることもわかってきました。それは、ほとんどが子どもたち自身の責任ではなく、大人たちによる、あるいは現代日本社会による、さまざまな弊害が子どもたちに降りかかってきているように見え、負の影響を与えていることを知りました。

私は、現代アーティストの力を信じています。ASIASで、彼らの“新しいものの見方、他者との関係をつくる力、新しい表現を見出す力”などが、きっとこのような子どもたちにいい刺激を与え、子どもたちがもともと持っている潜在的な力を彼らが自然と引き出してくれると思っています。そして、アーティストにとっても、子どもたちや先生方からたくさんの刺激や、創造性に関わるヒントなどを得ることができる。ASIASではそんな相互作用が生まれていると感じています。

さて、私たちは、ASIASの活動を続ける一方で、2004年に『にしすがも創造舎(旧朝日中学校)』という拠点を持ち、ACTION!(アクション)という活動も始めました。ここでは、地域をテーマに親子を対象とした事業を展開しています。学校教育の領域とは違いますが、子どもが日々生活をする場という意味では、学校と同じように地域社会も重要です。そして、そこでは“親子関係、コミュニティづくり、子育て環境”といったテーマも浮かび上がってきます。ACTION!の活動を続けながら、我々が地域社会でできることとはどんなことか?地域社会に対してアートの力はどんなふうに作用していくのか?を問いかけ続けています。

当初、民間企業の支援を受けながらASIASの事業をスタートしましたが、いまでは企業に加え、いくつかの自治体にも我々の活動を理解いただき、自治体との協働関係を築くことができています。教育、子育て、まちづくり、障害者福祉など、子どもに関わる社会的課題を、さまざまな機関が協力し合って取り組んでいく時代になったと言えるでしょう。

私たちは、民間NPOの立場から、アートの力をもって、これらの課題に今後も向き合っていくつもりです。そして、子どもたちのために、多くの人たちと手を取り合っていきたいと願っています。

特定非営利活動法人 芸術家と子どもたち
代表  堤 康彦

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