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コラムColumn

音楽劇♪ つくって、演じて、動いて、歌って 2019 vol.2 ~劇場のこえ~

PKT(パフォーマンスキッズ・トーキョー)ホール vol.57
音楽劇♪ つくって、演じて、動いて、歌って 2019
~劇場のこえ~
あうるすぽっと×前嶋のの(脚本家・演出家)

東京都豊島区のあうるすぽっとで実施したPKT(パフォーマンスキッズ・トーキョー)。前回のコラムでは、作品の構成・演出を務めた前嶋ののさんに伺った、子どもたちとの創作現場の様子についてご紹介しました。第二弾となる今回は、PKT実施を導いてくださった、あうるすぽっと劇場支配人の蓮池奈緒子さん、同制作の師岡斐子さん、佐々木千尋さんに伺ったインタビューをご紹介します。

>>ワークショップ概要、アーティストへのインタビューを記載した第一弾の記事はこちらから


【劇場ってこんなに面白い場所なんだな、と感じてもらうきっかけに】
~劇場からみたワークショップ~

―今回、なぜ「あうるすぽっと」で、PKT(パフォーマンスキッズ・トーキョー)を実施しようと思われたのですか。

蓮池奈緒子さん

蓮池奈緒子さん(以下、蓮池):私自身が以前、「芸術家と子どもたち」の代表である堤さんと、同じ拠点でお仕事をさせていただいていたんですけれども、その頃から、「芸術家と子どもたち」さんの活動全般に渡って、非常にリスペクトしておりました。「あうるすぽっと」劇場で働くようになり、何かご一緒にできることはないかと思っていた時に、「そうだ!うちは公共ホールだから、PKTに応募することができるんだ!」と思い立って、あうるすぽっとのチーフプロデューサーに相談したのが、きっかけです。

―PKT(パフォーマンスキッズ・トーキョー)の魅力は、どういうところにあると思われますか。

蓮池:私たちは普段、主に、プロのアーティストとともに、劇場で様々な作品づくりをしています。その中で、PKTのプロのアーティストがお子さんたちと一緒に、かなり短期間で作品をつくり上げる、そのプロセスというのが非常に興味深かったんです。また、いろんな方に、劇場というものを知っていただきたい、劇場の活動を知っていただきたいという想いがスタッフの中にありましたので、そういった面でも、PKTは、私たちの目的と非常に合致するところがあるのではないかなと思いました。あと、これまで、いくつかのホールで実施されたPKTの作品を拝見したのですが、それがどれも素晴らしかったというのもあります。

―師岡さんと、佐々木さんは、ワークショップの様子も毎回見てくださったと伺いましたが、実際のワークショップを見ていて印象的だったこと、また、発表をご覧になって感じたことなどありますか。

師岡斐子さん

師岡斐子さん(以下、師岡):最初の方は、集中できていないお子さんも結構いて、このままで大丈夫なのかな?と心配にもなったのですが、だんだん本番が近づくにつれて、集中力とか、やらなきゃ!という責任感とかが自然と出てきていたのが印象的でした。最終的に、今日の発表では、台詞が出てこない子がいたら、お互い助け合ったりしていて。他の子の台詞も覚えてあげたんだな~と、その姿にとても感動しました。

佐々木千尋さん

佐々木千尋さん(以下、佐々木):詩を書いたり、歌をつくったり、子どもたちにとっては、かなり課題が多かったと思うのですが、その課題にもちゃんと一人ひとりが向き合っているのが印象的でした。「できたら歌つくってきてみてね」…っていう課題だったのに、10人近くの子どもたちがつくってきていたり、恥ずかしいなと思いながらも一生懸命、みんなの前で発表していたり。彼らのつくった歌が、大竹創作さんの力でしっかりとした曲になっていって、それをまた、今日みんなが楽しそうに大きな声で歌っている姿に、ここまですごく頑張ってきたんだよな~と、発表を見ながら、親のような気持ちになってしまいました。

蓮池:今日の発表では、子どもたちが本当にのびのびしているのに驚きました。もちろん、演出の力があるのは大前提ですが、大きな舞台を存分に活かして使ってもらえたなっていう感じがしましたね。

自分がつくった詩や歌を、一人ひとりがみんなの前で発表する

―PKT(パフォーマンスキッズ・トーキョー)を実施したことで、今後「あうるすぽっと」にどのような影響があるとお考えでしょうか。

師岡:あうるすぽっとでは、今なかなか子どもたちに参加してもらうような活動ができていないくて。でも、やっぱりこういう活動って大事だなということを改めて感じたので、これから劇場でもいろいろなチャレンジができたらいいなと、勇気づけられました。子どもたちが舞台に立つ姿とか、成長していく姿とかを見て、まだまだ、私たち劇場にもできることってたくさんあるんだろうなという気付きをいただけたと思います。

広い劇場の、遠くまで声を響かせる

佐々木:今回、劇場に来て、「観る」だけじゃなく「立つ」という経験をしたことで、子どもたちが「劇場ってこんなに面白い場所なんだな」って感じてくれたように思います。今後も、劇場は「観に来る」だけではない、「自分も関われる」場所でもあると感じてもらえる機会を、どんどんつくっていきたいなという想いが、今ふつふつと湧き出てきています。

参加者のほとんどは、劇場の舞台に立つのは初めて。それでも堂々としたパフォーマンスを見せてくれた

蓮池:二人が言うように、私たちスタッフ自身が、こういった見地をもてたというのが非常に大きいと思います。劇場ができる、すべき役割とは何か。都会のビルの中の劇場なので、人が行き交うことがなかなか難しい場所ではありますけど、「みんなの劇場」というコンセプトを、どう実現していくかを考えていく上で、今回のPKTは、一つの大きなきっかけになり得たと思います。


今回は、あうるすぽっとという素敵な劇場でワークショップを実施させていただきました。担当の師岡さん、佐々木さんは、お忙しいなかワークショップにも顔を出していただき、参加する子どもたちの様子や変化を共有しながらワークショップから公演までをサポートしてくださいました。子どもたちが安心して自分を表現できる場所として、劇場になじんでいくことができたのも、劇場スタッフの皆様のおかげです。心より感謝申し上げます。

コラムvol.3では、ワークショップに参加した子どもたち自身や、保護者の声をご紹介したいと思います。

写真:羽鳥直志
編集:NPO法人芸術家と子どもたち
※無断転載・複製を禁ず。