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ASIAS障害のある子どもたちASIAS for Disturbed Children

ASIAS障害のある子どもたちとの活動

ASIAS障害のある子どもたちとの活動は、
アーティストが特別支援学級や特別支援学校、障害児入所施設などの障害のある子どもたちが集まる場所に出向き、
担当教員・職員の方と意思疎通を図り、指導方針・方法を共有しながら数日のワークショップを実施する取り組みです。

アーティストによるワークショップとは

★こちらの冊子もご覧ください★
「特別支援学級ワークショップについての座談会 報告・記録冊子~インクルーシブ教育の理念に基づいた活動に向けて~」

 

表現やコミュニケーションの新たな可能性を探る

2008年より、芸術家と子どもたちでは、特別支援学級をはじめ、障害のある子どもたちとともにたくさんのアーティストによるワークショップの場をつくってきました。その中で発揮される、彼らの独創的で刺激的な発想や表現に、アーティストが目を見張り、息を飲み、嫉妬の念すら持ってしまう瞬間に、私たちはこれまで幾度も立ち会ってきました。

残念ながら現代の日本では、普段の日常生活において、周囲とうまく馴染めなかったり、生きづらさを感じていたりする彼らは、「マイノリティ」として捉えられ、分断されてしまいがちです。そんな環境で育った彼らの中には、少なからず劣等感を抱え、自己肯定感を持てずに苦しんでいる子どもたちがいることも事実です。

しかし、自分は「普通」と思っている人も、ある局面では「マイノリティ」になったりと、このような境界線は、その時々で変化しうるものです。むしろ、「マイノリティ」の考え方や行動にふれ、多様な価値観を認め合うことが、新しい表現やコミュニケーションが生まれるきっかけとなりそんな独創性を持った彼らこそが、これからの社会を支え、動かしていくのではないかと考えています。

私たちはこれからも、子ども一人ひとりが他者との違いを認め合い、そこから一緒に何かを生み出す場をアーティストとともにつくっていきます。

“表現者”として紡ぐフラットな関係

アーティストは、子どもたち一人ひとりの表現は皆違うという前提に立っています。違いを認め合う環境が整えば、子どもたちは思う存分自分を表現します。普段の生活では、どうしても(特に学校では)こういう答えが模範解答で、こういう子どもがいい子、あの子は変わっている、あの子は〇〇ができない…というような既成概念にとらわれがちです。でも、アーティストという異分子が入ってきて、普段と違う授業をして、彼の言う“面白い”ことは、普段と少し違うようだ、ということが徐々に分かってくると、子どもたちの表現は少しずつ自由になっていきます。また、アーティストは先生ではないので、最初から教えるー教えられる、という関係を求めていません。アーティストと子どもたち、そしてそこに参加する教員も含めて、関係性がフラットになることも、豊かな表現を生み出す環境をつくるのです。ASIASでは、自分と他者との違い、考え方の違い、身体的な違い、表現の違い、などを無意識のうちに感じ取って、そこから新しい何かをみんなで生み出します。そこでは、障害の有無など、あまり意味を持たなくなってくるのではないでしょうか。

独特な身体感覚から生まれる表現の豊かさ

ASIASでは、子どもたちがとても敏感に周辺の刺激に反応し、影響を受け、どんどん身体感覚を研ぎ澄ませていく様子がわかります。様々な刺激を身体にインプットした結果として、アウトプット=表現が生まれるのです。そして、それらの感覚は、一人ひとり、子どもによって大きな差があります。特に自閉症の子どもたちは、独特の身体感覚を有していることが多いです。それゆえに、普段の生活に支障をきたす子どももいますが、ASIASでは、その感覚が特異な才能として発揮されることがあります。細部にこだわってしまい、全体を見ることが苦手な子が、とても微細な素晴らしい絵を描いたり、聴覚が過敏で、一般の人が聞き逃しているような周波数の音まで聞こえているような子が、彼にだけ聞こえる音楽で身体をゆらしたり…。大事なことは、自閉症児も一人ひとり感覚が違うという至極当たり前のこと。自閉症児であれ、そうでない子どもであれ、ASIASでは、“彼らがいま何を感覚的に感じ取っているのか”を、丁寧に寄り添って読み解いていきます。そうすることで、他の子どもたちも、自分では気づかなかった新しい感覚と出会い、そこからまた新しい表現が生まれていくのです。

実施概要

・対象:都内公立小中学校の特別支援学級(固定級・通級)/都内特別支援学校/障害児入所施設/その他、障害のある子どもが集まる場所
・ジャンル:ダンス・演劇・音楽・美術等
・実施日数:1~10日間程度
・実施時数: 1回(1日)あたり2コマ(1.5~2時間)程度
・実施場所:体育館や多目的室など、学校・施設内のスペース
・費用:学校・施設側の財政面での負担は基本的にございません

●過去の活動例

【特別支援学級】

・実施場所:東京都区内公立小学校 特別支援学級(知的障害/固定級/1~6年生13人)
・アーティスト:港大尋(音楽家)
・教科:音楽、総合的な学習の時間
・日数:4日間
・時数:8コマ(1日2コマ×4日)

・概要:抽象的なものである「気持ち」を表現することが苦手な子もいるので、怒りや悲しさ、嬉しさ、楽しさなどいろいろな「気持ち」を感じて表現できるような場をつくりたい、また、自分だけではなく、周りや相手の気持ちを察したり考えたりすることも子どもたちに体験してもらいたい、という担任教諭からの要望を受け、音楽を中心にダンスも取り入れた活動を計画。

・内容:
①リズムや歌に出会う
アフリカの太鼓やフライパンを使い、即興のリズム演奏を楽しんだ後、早口言葉や独特のリズムが特徴的なアーティストのオリジナル曲を数曲歌った。
まずは、音楽を通して誰かと一緒に表現することを楽しむ時間をつくった。

②絵に描かれた気持ちを考える・絵から歌をつくる
美術家の岡本太郎の作品を鑑賞し、一つの作品の中にいくつもの表情が描かれていることから、子どもたちはいろいろな「気持ち」について考えるきっかけを得た。
続いて、それぞれが様々な表情の顔の絵を描き、「にこにこ」「強欲な顔」「給食を食べたい顔」などのタイトルを付け、その言葉をヒントにした歌を創作。
アーティストがその場でピアノを弾き、子どもたちとやり取りしながら、出てきた言葉を歌詞にしてメロディーに乗せ、歌をつくっていった。

③「気持ち」を乗せて歌う、踊る
みんなでつくった歌を、ダンスや動きも取り入れて身体全体で味わった。
歌詞に出てくる「笑顔」「泣き顔」などのキーワードをもとに、にらめっこのようにして実際に顔の表情をつくったり、歌詞に合った動作を考えたりして、歌のイメージを広げていった。間奏部分では、一人ひとり自由に踊ることにも挑戦した。

 

【障害児入所施設】

・対象:小学5~高校3年生 20人
・日数:8日間
・時間:各グループ各回1.5時間
・発表の機会:保護者や職員、施設内の子どもたちに向けて発表
・作品タイトル:『からだを奏でることから』
・アーティスト:新井英夫(体奏家・ダンスアーティスト)

・概要: 2016年3~7月まで、月1~2回程度のペースで、10人前後の2グループに分けて実施。

・内容:
身体を使ってどんな表現ができるか、子どもたちのアイデアや好きな事を取り入れながら探っていきました。
言葉を使わずにタイコの音で挨拶をすることや、お互いの背中をマッサージして身体と心を徐々にほぐしていきながら、子どもたちとの関係性も深めていきました。中庭の植物を使ったオリジナルのTシャツをつくったり、沖縄のリズムに乗せて即興で踊ったり楽器を演奏したり、美術や音楽など、身体からいろいろな表現が広がりました。