今年度4回目、久しぶりの2年1組親子向けワークショップは、踊り手・美術家の東山佳永(とうやまかえ)さんをお迎えして、『音とからだでダンスを描こう』という、ダンスに音楽、造形的な要素も加わった楽しい内容でした。音楽は斉藤紘良さん(作曲家・保育園園長)、アシスタントには小林直子さんにお越しいただきました。
みんなで雲の上に行き、そこでパーティーをしよう!というコンセプトで、会場となった教室には雲が設えられていたり、窓には鳥や気球の絵が描かれていました。

ワークショップの始まりは、東山さんがダンスを披露して下さいました。風船を持って軽やかに舞う東山さんの姿を、子どもも大人も息をのんで見つめます。
さて、ダンスの後はまず参加者同士のご挨拶も兼ねて、風船を使ったワークです。円になって手をつなぎ、手を離さずに風船をパスしていきます。風船も1つから2つ、3つと数が増えます。声をかけたり、手をつないでる相手と呼吸を合わせてパスをつないでいきました。

その後、まず雲の上に行くには雲にならなければ、という事で、こすって温めた手で触れられると、その身体の部分から溶けていくというワークを行いました。一瞬で溶けてしまう子もいましたが、少しずつ、少しずつ身体が水になっていきます。

雲人間になった後は、みんなで雲の上に出発です。雲の上に行く方法は、ペアになった相手の顔や頭にタッチ、そっとくるくる回して連れて行ってあげます。お父さんやお母さんの手のひらに頭を預けて目をつぶりながら気持ちよさそうにしている子どもたち。家でもできそうなワークです。

さてさて、雲の上に到着したものの、雲の上は真っ白な世界。パーティをするには少し淋しいようです。そこで、斉藤さんの奏でる楽器の音に合わせて、雲に絵を描いていきました。楽器の音のイメージを、黒板に描かれた雲や吊るされた雲、ガラスにだって描いちゃいます。ジグザグの線やグルグルの線、斉藤さんの鳴らす楽器の音に目と耳を傾け、雲が思い思いの模様で彩られていきました。

続いては自分の身体を使っても描いてみました。指、肘、かかと、つま先など、身体の一部分を意識して空中に音の模様を描いていきます。するとそれが一人ひとりのダンスにつながっていきます。そうして生まれたダンスも活かしつつ、続いては親子毎に楽器を一つ渡し、楽器の音に合わせたポーズと振りを考えました。できた振りはみんなの前で発表、照れる子もいますが、お父さんお母さん、アーティストも一緒にサポートします。

発表が終わった子には、雨の降っている雲からパーティができるように雨を摘んでもらいました。摘んだ雨を小林さんへ届けてもらいます。すると、東山さんが風船のついた雨を持ってきました。パーティーをするにはクリスマスツリーが必要ということで、みんなでカウントダウン!東山さんが手を離すとスルスルッと雨の束が立ち上がってツリーの出来上がり!子どもたちは一斉にツリーの中に吸い込まれていきました。秘密基地のような空間はいつの時代も子どもの心を釘づけにするようです。

でも、ただのツリーではパーティーには不十分、教室に散らばった雨の粒や靴下に雨傘、透明折り紙で作られた様々な形を集めて、子どもたちにツリーの飾り付けをお願いしました。

一瞬で素敵なツリーが出来上った後は、みんなでツリーを囲み、簡単なステップでフォークダンス!途中みんなが考えた音のダンスも混ぜながら、ダンスパーティーを開きました。

時間はあっという間に過ぎて、パーティーを楽しんでいるうちに、だんだん夜がやってきて、みんな寝る時間になってしまいました。ひと眠りすると、何やら朝の音が聞こえてきます。眠って休めた身体を、少しほぐして起き上がったところで、ワークショップの終了です。雲の上でのパーティーと言う物語をベースに、ダンスも音も造形も、様々な要素を満喫した一日となりました。

師走初日の寒い日に、勝部ち子さんによるからだあそびワークショップが開催されました。
勝部さん 「今日は雨で寒いですが、みんな元気ですか?雨とか、寒いとか、みんなには関係ないか?!」
子どもたち 「かんけいなーい!」
今日も元気な声がホールに響きました。勝部さんがこの園に来るのはちょうど1週間ぶりです。
前回と同様、アシスタントのしょうこさんと一緒に来園し、この日もまず最初はみんなの名前を呼び合うことから始めました。大きな輪になって座り、「○○ちゃーん(くん)」とみんなで一斉に一人ずつ名前を呼びます。名前を呼ばれた子はちょっぴりはにかんでみたり、ポーズを決めてみたり。先生の名前ももちろん呼びます。勝部さんとしょうこさんも「ちこちゃーん」「しょうちゃーん」と、子どもたちと同じように呼んでもらいます。ちょっとしたことだけど、こうして一人ひとりの名前を大きな声で呼び合うことで、前回はお休みだった子も、ここで顔と名前を覚えてもらえたり、その場にいるみんなの気持ちがほぐれ、これから一緒にからだあそびをしようね、という一体感がでてくるのです。
紹介の後、まずは少しウォーミングアップしました。
勝部さんが幼児を対象に行うワークの中に、「ネコ」という名前のものがあるのですが、それは四つん這いになり、二人同時にゴロンと一回りしてからジャンプするというものです。着地するときは足音がたたないようにするのが「ネコみたい」ということで「ネコ」と呼んでいます。日頃からよく身体を動かしていると思われるこの園の子どもたちは、あそびの飲み込みが早く、静かに着地するジャンプも、とてもうまく飛ぶことができました。
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このあそびを紹介するとき、勝部さんが子どもたちに、「この動きは何を表現していると思う?」と聞いたところ、子どもたちからは、「うさぎ」「カメ」など色々な答えが返ってきました。勝部さんとしょうこさんが 「そうだね。それもあるね。」とどれも受け入れるように返事をしていると、一人の女の子が 「ほんとはどれが正解なの?」 と聞いたそうです。しょうこさんが 「どれも正解だよ」 と言うと、その女の子は少しきょとんとした顔をしていたそうです。
勝部さんのワークショップは、いつも子どもたちの年齢に見合ったワークを用意して来てくれますが、現場で子どもたちから出てくるアイディアを時には受け入れ、柔軟にシフトしていくこともあります。「こうしなくちゃいけないというのはない」 そのコンセプトが「ネコ」の件に如実に表れていましたが、きっと子どもたちは、知らず知らずのうちに今日のワークショップそのものが 「こうしなくちゃいけないというのはない」 のだということに気づいて行ったのではないでしょうか。
さて、いろいろな面白いからだあそびを取り入れたウォーミングアップが終わると、前回のワークショップで約束した「海」に行くことになりました。この「海」は勝部さんのワークの中で大人気のものです。
勝部さん 「これから海に行きたいと思います。今日は沖縄に行きます!」
子ども 「なんきょくがいいー!」 
なぜか「なんきょく」の大合唱が子どもたちがわきあがりました。
・・・しばらくたって・・・
しょうこさん 「今日行く海が決まりました。なんきょくです!」
子どもたち 「わーーーーい!!」 
子どもたちはおおはしゃぎでした。南極ブームなのでしょうか?理由はわかりませんが、南極行きが決まりました。
飛行機に乗ったあそびを通して南極に着くと、4人1組で波乗りをしました。横一列に3人が寝転がり、その上に一人が横たわります。下の3人がごろごろと転がると、上に乗った子も一緒に転がって、まるで海で波乗りをしているみたいなのです。これは”みんなで息を合わせて″転がることが大事で、お互いが相手の動きを感じ取りながら動くこと、動きながら友だちの身体にケアすることが必要な、実はちょっと高度な動きです。前回2人1組でやったことが活きて、今日はみんなとてもうまく波乗りができていましたが、中にはちょっと勝部さんに指導してもらいながらできたというグループもありました。
最後のワークは、海でつかまえた魚が体に入ってしまった!というあそびです。身体の中に魚が入ったらどんなことになるでしょう?そんなことをイメージして動くと、なんだか踊っているみたいになりました。魚はしょうこさんから勝部さんへ、勝部さんから先生へ、先生から子どもへとだんだんと移っていきます。魚が入ってしまった人は、手足や腰をゆらゆらさせて動きます。その動きがおもしろいのか、魚がはいっちゃった!というイメージがもうできているのか、子どもたちは大興奮で 「いつ自分のところに魚がくるだろう!」 という期待をもちながら待っています。待ちきれない子は飛びはねたり、奇声をあげたりして待っていました!子どもたちに魚がやってくると、待ちきれない子たちがみんな踊りだして、すごいエネルギーがさく裂しました。
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自己表現をしたい子たちが多いんだなぁ、とスタッフは感心したのですが、あとで聞いたら「大人しくて自分を出すのが苦手な子が多いんです」とのこと。え?!スタッフも、勝部さんもしょうこさんも、唖然としてしまいましたが、今日の 「こうしなくちゃいけないというのはない」 という雰囲気を感じ取って、子どもたちが表現できたのではないかと先生たちは受け取られたようです。自然に引き出された子どもの感覚に出会えた時間だったのですね。あとからしみじみとワークショップの力を実感させられました。
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勝部 ちこ(かつべ ちこ)/ダンサー・インプロバイザー

勝部 ちこ(かつべ ちこ)/ダンサー・インプロバイザー

街中がイルミネーションでキラキラ輝くこの季節、12月のグリグリワークデーは、畑活動に加えてクリスマス会も行いました。
まず午前中は畑の手入れです。先週緑のカーテンの植物を冬用に植え代えたので、カブさんが作ってくれた立札に子どもたちが植物の名前を書いていきました。キラキラの星が添えられて、花たちもより可愛らしく見えます。

その間、やんちゃな男の子たちはイモリを捕まえてきました!随分大きなイモリで何となく愛らしく、子どもたちの自慢げな顔に思わずシャッターを押してしまいました。

さて、畑の方では、秋の終わりに植えた野菜たちの間引きを行いました。春菊、日野菜、ほうれん草にラディッシュなどぎっしり若葉が育っているので、たくさん間引きをして、間引いたものはサラダの材料にしました。ラディッシュは既に大きく育っているものもあり美味しそうでした。

そうしているうちに、クリスマス会のメインディッシュ、ターキーが登場しました!今年は7kgのターキーを用意、石釜係もベテランの方にお願いして、万全の態勢で挑みました。みんなも作業の手を止めてワラワラと石釜の周りに集まりターキーの行方を見守ります。しっかり中まで火が通るように、見事に蒔で閉じられていく石釜を見つめていました。

他方パパさんチームは、せっせと柵作りをしていました。ニスを塗ってペンキを塗って、グリーン&ピンクの、グリグリらしい柵が次々にできていきました。子どもも一人前にのこぎりを使って作業に参加です。

間引きが終わった子どもたちは、何か仕事はないかと探して、ニラの種の収穫や、バラのアーチの周りにいつの間にか育っていた人参を収穫しました。

時には青虫を観察して日記に書きとめたり、ず~っと石釜の番をしている子がいたり、子どもたちもそれぞれのやりたい事を見つけて取り組んでいました。はつか大根を植えた男の子は、「はつか3兄弟」なんて可愛い立札を立てていたり…

日が傾き始める頃にはクリスマスの飾り付けも始まります。カモカフェのスタッフも一緒に、ライトを飾ったり、おもちゃかぼちゃを使って素敵な飾りを付けてくれました。猿のように身軽な男の子たちも手伝って、教室もモールでキラキラになっていきます。

クッキング部隊は、パスタにパエリア、ピザなどなど、お母さんたちが大活躍です。包丁の使い方を教えてもらったり、ピザの具を乗せたり、もちろん子どもたちも手伝います。

気付けばあっという間に日も沈み、クリスマス会が始まる頃には本当にたくさんの方が来てくれました。久しぶりに会うメンバーとの話もはずみます。出来あがったターキーは一瞬で無くなりましたが、それもそのはず、本当に柔らかくて美味しかったです!パスタやパエリアも大好評で、ボーっとしていると食べ損ねてしまうくらいでした。

お待ちかねのプレゼント交換では、大きな円を作り、歌に合わせてプレゼントを横の人に回していきます。子どもたちからの「もう1曲」というリクエストを何回か経て、最終的にプレゼントが決定です!早速中身を開けてみては見せ合いっこ。一番盛り上がる瞬間でした。

最後はご飯を食べつつ、三々五々に帰っていきましたが、残れる人は残って、夜が更けるまで楽しいおしゃべりは続きました…

保育園の5歳児クラスで行われた、谷山恭子さん(美術家)のワークショップをご紹介します。会場になったのは、六角形の素敵なホールです。ダイナミックな造形活動で、一人一人の作品でもあり、みんなで一つの作品にもなるような内容を、との先生からのリクエスト。今回は、木を組んだ土台の上に段ボールなど様々な素材で装飾して、みんなで大きな木を作る、という内容でした。子どもたちの人数と、2日間実施ということで、大きな土台と、少し小さな土台と2つの木を作りました。

1日目、ホールに入ってくるなり、木組みを見て子どもたちは「ワーッ」と歓声を上げていました。はやる気持ちを抑えてまずはアーティストとご挨拶。その後はペンキの使い方や、何を作るか簡単に説明をして制作スタートです。
ペンキの説明を聞いたらまずは全員ペンキを塗ろうとしますが、大混雑のため、段ボールカッターで段ボール切りに挑戦する子もチラホラ。ペンキはいつも子どもたちの心を魅了してやまないのですが、今回も予想通り?の人気ぶり。1日目は色を混ぜずに一色ずつ塗っていきました。2日目は色を混ぜても良い事を伝えると、それはそれで大興奮。2日間で、ローラーだけでなく手形をする子や、葉っぱや空き箱、いろいろな物に色を塗っていく子など様々な展開が見られました。

一方では、工作的な作業に夢中になる子もいます。カラーガムテープや風船、アルミホイルを利用して、鳥に船、ロボット、リースなどそれぞれが丁寧に作品を作っていました。直接は木に関係ないように見える作品でも、木と木をつなぐ紐に吊るしたり、木に貼付けたりする事で、全体としては立派に一つの作品になっていきます。

木に飾り付けていく段階では、大きな布を作って秘密基地を形作って行く男の子たちも。布で覆われた狭い空間の中で何やら作戦会議でしょうか。使う素材は様々ですが、今回はアーティストが用意した物以外にも、保護者の方や先生にもご協力いただき、面白い実のなる木々や落ち葉など、自然の素材も活用しました。

梱包材のプチプチは入り口のカーテンに、松ぼっくりも飾りに、アルミホイルは自由自在に形を変えられるので、子どものイメージの中では宝物にもなります。プチプチにペンキを塗るというアイデアも広がりました。

木の回りに張った紐にも次々に作品がつり下げられてどんどん賑やかになっていきました。「楽しい!」「次は〇〇作る!」と先生やスタッフに説明しながら作ってくれる子、ほとんど話さず黙々と作業に没頭する子、とりあえず木の中に入ってキャンプごっこをして楽しんでいる子、一人ひとりが、それぞれの楽しみ方を見つけていました。それと同時に相談しながら一つのものを作ったり、アーティストに相談したり、様々なコミュニケーションも生まれます。

そして楽しい制作の時間はあっと言う間に過ぎていきました。まだまだ作りたい物がある様子の子もいましたが、簡単に自分が使った道具などを片付けて集まりました。そして、クリスマスも近いということで木に照明を仕込んでおいたので、点灯式を行いました!ライトが付くと、「中に入りた~い!」とさらに盛り上がる子どもたち。でもその前に、自分が作ったものを発表してもらいました。みんないくつも作品を作っていましたが、一番思い入れの強いものから紹介されていきます。アーティストも一言ずつ作品にコメントを添えました。

発表後は、少し時間が余ったので、お待ちかね、みんなで中に入って遊びました!「遊んでいいよ~!」のかけ声に「キャ~!」と駆け出す子どもたち。あまりの勢いに、「小さい方は3人までだよ~。」とアーティストが声をかけ、みんなにもルールを守ってもらいます。でも大きな方には全員が入れてしまい記念撮影。みんなの嬉しそうな笑顔がとても可愛らしかったです。
「大きな木」というざっくりとしたテーマに、素材をふんだんに用意して環境を整えることで、子どもたちの創造力はどんどん広がって深まっていく。決まっていることと自由さが絶妙なバランスである事が、子どもたちを輝かせたように思います。撤去日までの数日間は、木の中でおやつを食べたり、他のクラスの子も遊んだり、園でもいろいろ活用して下さるとのことでした。先生からは、子どもたちが達成感を持って「作るのが楽しい。」と思えていた、との感想をいただきました。作る事を嫌がることは一度もなく、アイデアが尽きない子どもたちと過ごす時間は、ワクワクと笑顔であふれていました。
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谷山 恭子(たにやま きょうこ)/美術家http://www.children-art.net/taniyama_kyouko/

今回ご紹介するのは、毎回素敵な空間の中で子どもたちの想像力を豊かに広げて下さる、水内貴英さん(美術家)のワークショップです。会場は小学校の一教室。2月の学習発表会まで作品を置いておけるということで、水内さんもいつにも増してダイナミックなアイデアを提案して下さいました。ワークショップのタイトルは、『COLOR』。部屋いっぱいの真っ白で巨大な森の立体塗り絵を子どもたちが彩ります。

ワークショップの導入は、アーティストのオリジナル紙芝居の読み聞かせです。ある学校の仲良し3人組が、ある日の放課後を図書室で過ごす事に。見つけたのは真っ白な本。塗り絵のようだけど特に面白くもなさそうなので本を閉じて帰ろうとすると、「ちょっと待って!」と本の中から声がします。声の主は黄色く塗られたタヌキ。ずっと前にタヌキだけが黄色く塗られたまま、完成されなかった塗り絵だそう。そしてタヌキは仲良し3人組を森の塗り絵に誘い出します…
と、紙芝居を読んだ後にアーティストが会場の部屋へ子どもたちを連れて行くと、そこには本物の大きな森の塗り絵が!という仕掛けでワークショップが始まるのです。
この小学校では、通級の特別支援学級に通う1~6年生が対象で、曜日ごとに参加する子どもたちが違います。そして学年も様々な子どもたちがどんな反応を見せ、どんな色の世界を広げてくれるか、少しの不安と、たくさんのワクワクを胸に制作がスタートしました。
月曜日~金曜日までの5日間、形を描くのが好きだったり、絵具で色を塗るのが好きだったり、昆虫を描いたり、イルカを描いたり、毎日子どもたちの個性も違っていて、少しずつ少しずつ森が豊かに色づいていく様は見ていてとても楽しいものでした。全部は書ききれませんが、とある1日目の様子を紹介したいと思います。
この日のメンバーは5人。「1・2・3!」のかけ声で塗り絵の教室に入ると「わあ~っ!すごい!」と歓声が。すぐにでも制作に取り掛かりたいところですが、まずはアーティストから道具の説明があります。線を描く用のポスカと、色を塗るようにはアーティストがあらかじめ中間色に混色した絵具が用意されています。また、描く時のルールとして、「前の日に描かれた絵や、他の子が描いたものを大事にして下さい。」と声かけをしました。

さてさて、そして子どもたちは思い思いに制作に取り掛かります。ポスカで草むらに蛇を描く子もいれば、大胆に木に絵具で色を塗っていく子も。「自由に」と言われると何から描いていいか戸惑う子もいましたが、アーティストがカブト虫を描いてみせると、そのそばの枝に、アーティストより先にカブトムシを完成させました。

時にはアーティスが見本を見せることもありますが、逆に子どもからアーティストを誘って、「サクラを描こう」と友だちと3人での共同制作を始める子もいました。「芸術の秋!」と言いながら嬉しそうな笑顔で何を描いているのか説明もしてくれます。

そしてふと気付くと、森の一番奥にはイルカのいる海が出現!青一色で素敵な波が表現されていました。また、黙々と画面の端から端まで丁寧に色を塗っていく子は、前日に描かれたふくろうを丁寧に残して作業をしています。上の方はアーティストに肩車をしてもらい、届く限りの高さまできれいにきれいに森を彩っていました。

一方、紫色が気に行った子はブルーベリーを描きたいと言い出しました。他の子が塗った木の上に描いてもいいかとアーティストに聞いて、「その子は他の子が描いても良いって言ってたよ。」と確認後、大きくて美味しそうなブルーベリーを次々に描いていました。

この日は、「エメラルドグリーン」が突然人気の出た瞬間があり、最初に蛇を描いていた子も、エメラルドグリーンを使って草むらにも色を塗って、最後には青色で絶妙な仕上げを施していました。

制作の時間はあっという間に過ぎ、いつの間にか裸足になったり、顔や手まで「芸術!」になっていたり、白い養生シートで覆った床もいい感じで森の地面のようになっていきました。最後には、その日子どもたちが一番頑張って描いたところを発表して終わります。嬉しそうに発表する子どもたちを見ていると、見ているスタッフも嬉しい気持ちでいっぱいです。照明を付けて見ると、また少し森の雰囲気が変わって面白いです。

この学級では、アーティストが帰った後も、毎回先生が子どもたちと振り返りを行って、「たぬきさん」への質問などを掲示物としてまとめてくれていました。アーティストも「たぬきさん」として毎回返事を残して帰ります。2月までの長い設置期間があるので、さらに手を加えたり、いろいろな機会に活用したりして下さるのではないかと思います。また、2月の学習発表会でもアーティストがワークショップの締めくくりとして、紙芝居の続きを披露する予定なので、それまでどんな風に森が変化していくか、また子どもたちがどんな気持ちであの森に関わっていってくれるのか、毎週でも通いたいと、後ろ髪を引かれる思いで学校を後にしました。こんな風に長い間作品を通して関われる機会はめったにない機会で、教室をまるで引っ越し後のように片付けて下さった上、毎回振り返りの打合せでも丁寧に子どもの様子についてお話して下さった先生方にも支えられて、毎日が楽しいワークショップとなりました。
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水内 貴英(みずうち たかひで)/美術家http://www.children-art.net/mizuuchi_takahide/