保育園の5歳児クラスで行われた、谷山恭子さん(美術家)のワークショップをご紹介します。会場になったのは、六角形の素敵なホールです。ダイナミックな造形活動で、一人一人の作品でもあり、みんなで一つの作品にもなるような内容を、との先生からのリクエスト。今回は、木を組んだ土台の上に段ボールなど様々な素材で装飾して、みんなで大きな木を作る、という内容でした。子どもたちの人数と、2日間実施ということで、大きな土台と、少し小さな土台と2つの木を作りました。

1日目、ホールに入ってくるなり、木組みを見て子どもたちは「ワーッ」と歓声を上げていました。はやる気持ちを抑えてまずはアーティストとご挨拶。その後はペンキの使い方や、何を作るか簡単に説明をして制作スタートです。
ペンキの説明を聞いたらまずは全員ペンキを塗ろうとしますが、大混雑のため、段ボールカッターで段ボール切りに挑戦する子もチラホラ。ペンキはいつも子どもたちの心を魅了してやまないのですが、今回も予想通り?の人気ぶり。1日目は色を混ぜずに一色ずつ塗っていきました。2日目は色を混ぜても良い事を伝えると、それはそれで大興奮。2日間で、ローラーだけでなく手形をする子や、葉っぱや空き箱、いろいろな物に色を塗っていく子など様々な展開が見られました。

一方では、工作的な作業に夢中になる子もいます。カラーガムテープや風船、アルミホイルを利用して、鳥に船、ロボット、リースなどそれぞれが丁寧に作品を作っていました。直接は木に関係ないように見える作品でも、木と木をつなぐ紐に吊るしたり、木に貼付けたりする事で、全体としては立派に一つの作品になっていきます。

木に飾り付けていく段階では、大きな布を作って秘密基地を形作って行く男の子たちも。布で覆われた狭い空間の中で何やら作戦会議でしょうか。使う素材は様々ですが、今回はアーティストが用意した物以外にも、保護者の方や先生にもご協力いただき、面白い実のなる木々や落ち葉など、自然の素材も活用しました。

梱包材のプチプチは入り口のカーテンに、松ぼっくりも飾りに、アルミホイルは自由自在に形を変えられるので、子どものイメージの中では宝物にもなります。プチプチにペンキを塗るというアイデアも広がりました。

木の回りに張った紐にも次々に作品がつり下げられてどんどん賑やかになっていきました。「楽しい!」「次は〇〇作る!」と先生やスタッフに説明しながら作ってくれる子、ほとんど話さず黙々と作業に没頭する子、とりあえず木の中に入ってキャンプごっこをして楽しんでいる子、一人ひとりが、それぞれの楽しみ方を見つけていました。それと同時に相談しながら一つのものを作ったり、アーティストに相談したり、様々なコミュニケーションも生まれます。

そして楽しい制作の時間はあっと言う間に過ぎていきました。まだまだ作りたい物がある様子の子もいましたが、簡単に自分が使った道具などを片付けて集まりました。そして、クリスマスも近いということで木に照明を仕込んでおいたので、点灯式を行いました!ライトが付くと、「中に入りた~い!」とさらに盛り上がる子どもたち。でもその前に、自分が作ったものを発表してもらいました。みんないくつも作品を作っていましたが、一番思い入れの強いものから紹介されていきます。アーティストも一言ずつ作品にコメントを添えました。

発表後は、少し時間が余ったので、お待ちかね、みんなで中に入って遊びました!「遊んでいいよ~!」のかけ声に「キャ~!」と駆け出す子どもたち。あまりの勢いに、「小さい方は3人までだよ~。」とアーティストが声をかけ、みんなにもルールを守ってもらいます。でも大きな方には全員が入れてしまい記念撮影。みんなの嬉しそうな笑顔がとても可愛らしかったです。
「大きな木」というざっくりとしたテーマに、素材をふんだんに用意して環境を整えることで、子どもたちの創造力はどんどん広がって深まっていく。決まっていることと自由さが絶妙なバランスである事が、子どもたちを輝かせたように思います。撤去日までの数日間は、木の中でおやつを食べたり、他のクラスの子も遊んだり、園でもいろいろ活用して下さるとのことでした。先生からは、子どもたちが達成感を持って「作るのが楽しい。」と思えていた、との感想をいただきました。作る事を嫌がることは一度もなく、アイデアが尽きない子どもたちと過ごす時間は、ワクワクと笑顔であふれていました。
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谷山 恭子(たにやま きょうこ)/美術家http://www.children-art.net/taniyama_kyouko/

今回ご紹介するのは、毎回素敵な空間の中で子どもたちの想像力を豊かに広げて下さる、水内貴英さん(美術家)のワークショップです。会場は小学校の一教室。2月の学習発表会まで作品を置いておけるということで、水内さんもいつにも増してダイナミックなアイデアを提案して下さいました。ワークショップのタイトルは、『COLOR』。部屋いっぱいの真っ白で巨大な森の立体塗り絵を子どもたちが彩ります。

ワークショップの導入は、アーティストのオリジナル紙芝居の読み聞かせです。ある学校の仲良し3人組が、ある日の放課後を図書室で過ごす事に。見つけたのは真っ白な本。塗り絵のようだけど特に面白くもなさそうなので本を閉じて帰ろうとすると、「ちょっと待って!」と本の中から声がします。声の主は黄色く塗られたタヌキ。ずっと前にタヌキだけが黄色く塗られたまま、完成されなかった塗り絵だそう。そしてタヌキは仲良し3人組を森の塗り絵に誘い出します…
と、紙芝居を読んだ後にアーティストが会場の部屋へ子どもたちを連れて行くと、そこには本物の大きな森の塗り絵が!という仕掛けでワークショップが始まるのです。
この小学校では、通級の特別支援学級に通う1~6年生が対象で、曜日ごとに参加する子どもたちが違います。そして学年も様々な子どもたちがどんな反応を見せ、どんな色の世界を広げてくれるか、少しの不安と、たくさんのワクワクを胸に制作がスタートしました。
月曜日~金曜日までの5日間、形を描くのが好きだったり、絵具で色を塗るのが好きだったり、昆虫を描いたり、イルカを描いたり、毎日子どもたちの個性も違っていて、少しずつ少しずつ森が豊かに色づいていく様は見ていてとても楽しいものでした。全部は書ききれませんが、とある1日目の様子を紹介したいと思います。
この日のメンバーは5人。「1・2・3!」のかけ声で塗り絵の教室に入ると「わあ~っ!すごい!」と歓声が。すぐにでも制作に取り掛かりたいところですが、まずはアーティストから道具の説明があります。線を描く用のポスカと、色を塗るようにはアーティストがあらかじめ中間色に混色した絵具が用意されています。また、描く時のルールとして、「前の日に描かれた絵や、他の子が描いたものを大事にして下さい。」と声かけをしました。

さてさて、そして子どもたちは思い思いに制作に取り掛かります。ポスカで草むらに蛇を描く子もいれば、大胆に木に絵具で色を塗っていく子も。「自由に」と言われると何から描いていいか戸惑う子もいましたが、アーティストがカブト虫を描いてみせると、そのそばの枝に、アーティストより先にカブトムシを完成させました。

時にはアーティスが見本を見せることもありますが、逆に子どもからアーティストを誘って、「サクラを描こう」と友だちと3人での共同制作を始める子もいました。「芸術の秋!」と言いながら嬉しそうな笑顔で何を描いているのか説明もしてくれます。

そしてふと気付くと、森の一番奥にはイルカのいる海が出現!青一色で素敵な波が表現されていました。また、黙々と画面の端から端まで丁寧に色を塗っていく子は、前日に描かれたふくろうを丁寧に残して作業をしています。上の方はアーティストに肩車をしてもらい、届く限りの高さまできれいにきれいに森を彩っていました。

一方、紫色が気に行った子はブルーベリーを描きたいと言い出しました。他の子が塗った木の上に描いてもいいかとアーティストに聞いて、「その子は他の子が描いても良いって言ってたよ。」と確認後、大きくて美味しそうなブルーベリーを次々に描いていました。

この日は、「エメラルドグリーン」が突然人気の出た瞬間があり、最初に蛇を描いていた子も、エメラルドグリーンを使って草むらにも色を塗って、最後には青色で絶妙な仕上げを施していました。

制作の時間はあっという間に過ぎ、いつの間にか裸足になったり、顔や手まで「芸術!」になっていたり、白い養生シートで覆った床もいい感じで森の地面のようになっていきました。最後には、その日子どもたちが一番頑張って描いたところを発表して終わります。嬉しそうに発表する子どもたちを見ていると、見ているスタッフも嬉しい気持ちでいっぱいです。照明を付けて見ると、また少し森の雰囲気が変わって面白いです。

この学級では、アーティストが帰った後も、毎回先生が子どもたちと振り返りを行って、「たぬきさん」への質問などを掲示物としてまとめてくれていました。アーティストも「たぬきさん」として毎回返事を残して帰ります。2月までの長い設置期間があるので、さらに手を加えたり、いろいろな機会に活用したりして下さるのではないかと思います。また、2月の学習発表会でもアーティストがワークショップの締めくくりとして、紙芝居の続きを披露する予定なので、それまでどんな風に森が変化していくか、また子どもたちがどんな気持ちであの森に関わっていってくれるのか、毎週でも通いたいと、後ろ髪を引かれる思いで学校を後にしました。こんな風に長い間作品を通して関われる機会はめったにない機会で、教室をまるで引っ越し後のように片付けて下さった上、毎回振り返りの打合せでも丁寧に子どもの様子についてお話して下さった先生方にも支えられて、毎日が楽しいワークショップとなりました。
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水内 貴英(みずうち たかひで)/美術家http://www.children-art.net/mizuuchi_takahide/

10日間ほどワークショップを行い、最終的に作品を発表する、という取り組みで、今年は学芸会の発表にいくつか関わりました。前回に引き続き今回ご紹介するのはその中の1つ、小学1・2年生19人と創り上げた作品です。お迎えしたアーティストは楠原竜也さん(振付家・ダンサー)。アシスタントとして村越麻理子さん、ドラムの演奏で有吉拓さんにもご協力いただきました。
この学校では、『まっしろだったカラス』という台本を、森に囲まれた学校の特色を生かして担任の先生が手を加えた、『カラスドロップ』という物語を上演しました。昔は真っ白で美しく、でも怠けものだったカラスたち。ズルをして「あくまになれ~る」という薬で羽を黒く、声を低く変え、森の動物たちが集めた木の実を奪い取ろうとします。しかし、ルールを守って薬を飲まなかったため、元の真っ白な姿には戻れず、動物たちにも正体がばれて森を追い出されてしまいます。そんな時、森が嵐によって火事になり、その様子を見ていたカラスたちが命をかけて火を消すのです。この行いによって動物たちとカラスは仲直りをする、という物語です。
子どもたちが演じるのは、カラス、うさぎ、りす、ねずみ、ふくろうと全て動物です。そこで、低学年らしい身体の動きを取り入れて動物に成りきって演じられるようワークショップを続けていきました。

ワークショップの最初には、アーティストの真似をしたり、身体の一部分をくっつけて様々な形を作ったり、身体の持つ可能性を探るようなワークを行いました。子どもたちと登場する動物がどんな声でどんな姿か、どんなふうに鳴いたり飛んだりするのか、様々な意見を出してもらい、実際身体を動かして表現する、ということにも取り組みました。みんなとてものびのびと表現する子どもたちで、アーティストも今までに見たことのない形が考えだされるなど、驚きの連続でした。
セリフの練習では、誰に向かって伝えようとしているのか、相手を意識して話すことを考えながら、声のキャッチボールや、体育館の一番後ろから声を届けるワークを行いました。大きな声を出してセリフを話すこと、しかも役に成りきって、というのはとても難しい事ですが、アーティストの丁寧な指導と繰り返しの言葉かけで、少しずつ子どもたちの身体の中に表現が染み込んでいくようでした。

セリフがない間も、他の子のセリフを聞いてうなずいたり、身体の向きを話している子の方へ向けたり、少しずつワークショップで行ったことが演技の中に活かされている、とはある日の振り返りでの先生の言葉です。
学校の先生にとって外部からアーティストが入り、ワークショップに取り組むことは、先がどうなるのか不安をともなうチャレンジかもしれません。しかし、アーティストが伝えようとしている事を感じて、子どもたちの変化を丁寧に見て取って下さる中で、先生との関係が良い方向に深まり、協力体制が整うことは、とても嬉しく大切な事だと思います。
さて、そうして演技の練習などもしながら、今度は衣装の制作です。具体物を用いることなく、抽象的な衣装で身体表現を活かすことができるよう、アーティストが下地を整えました。そして、図工の時間をお借りして子どもたちと一緒に制作です。フェルトに様々な種類の生地を、一人ひとりが自分の思うように並べてボンドで貼り付けていきました。カラス役とふくろう役の子は、何枚も必要な羽を、単純作業でも飽きずに一生懸命切っていきます。最後には、保護者の方々や先生方が協力して、放課後の家庭科室で作業して完成させてくれました。

同時に、今度はセリフではなく各動物の動きの完成度を上げていきます。白カラスの登場、各動物たちの登場シーンには、それぞれの特徴をよく表した動きをアーティストが振付していきました。カラスの変身や火を消すシーンでも、臨場感溢れる面白い動きが生み出されていきます。今回の音楽は全てドラムの生演奏で、音にのって子どもたちは動きのきっかけを覚え、のびのびと自由になっていきます。身体表現を支える音の存在は本当に大切なものです。
ワークショップ後半は、アーティストが行けない間は先生に練習をお任せし、ワークショップでは通し稽古や細かい動き、移動、立ち位置の修正などを繰り返し行います。アーティストは子どもたちの限界を決めつけることを絶対にしません。毎回毎回、「こうすればもっと良くなる。」「あの子たちはまだまだ伸びしろがある。」と、ただまっすぐに、子どもたちの表現を高めるために力を尽くしていきます。もう稽古の時間はなく、残すは本番のみ、子どもたちに何かを伝えられるのは本番前の10分間のみ、という状況になっても、子どもたちの表現がさらに良くなることを信じて疑わないのです。

そしていよいよ本番、アーティストが伝えてきた数えきれないほどの大切な事、ワークショップでも子どもたちは十分に応えてくれていましたが、最高の状態で発表できるよう、子どもたちを信じて、期待と緊張で胸が高鳴ります。しかし、始まってしまえば大人の心配などどこへやら、今までで一番の力が発揮できたように思います。のびのびと、大きく身体を動かし、舞台上を思いっきり動きまわり、息をひそめるシーンでは姿勢を低くして相手の様子を伺い、相手に向かって話す事、相手の話を聞く事、今まで一つ一つ積み重ねてきた事が、子どもたち一人ひとりの表現となって舞台の上で輝きました。
期間にすると2カ月、いつも元気いっぱいでワークショップに取り組んだ子どもたち。毎回放課後の打合せにもご協力いただいた先生方、そしてとてつもないエネルギーを注いでいつも子どもに向き合って下さったアーティストの方々、三者の力で、どこにもないたった一つの素敵な作品が完成しました。子どもたちや先生ともう一緒に過ごす事ができないのはとても淋しいですが、演じる事の楽しさや、表現する事の楽しさが、今後も何らかの形で子どもたちの中に残っていくだろうと信じています。
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楠原 竜也(くすはら たつや)/振付家・ダンサー・ APE 主宰http://www.children-art.net/kusuhara_tatsuya/

当NPOでは、10日間ほどワークショップを行い、最終的に作品を発表する、という取り組みも行っています。今回ご紹介するのは、小学2年生60人と創り上げた学芸会の作品です。お迎えしたアーティストはスズキ拓朗さん(振付家・ダンサー・演出家)と、アシスタントの樋口舞さん(ピアノ演奏)。

ワークショップの初回は9月のある一日。初めて出会う子どもたちに、名前と好きな食べ物などを教えてもらい自己紹介をしました。この日は、円になってボールをパスするゲームや、「ネコとネズミ」というゲームなどを行い、これから一緒に作品を作って行く上で、遊びを通して協力することの大切さを伝えました。
そして2回目以降は、本格的に作品作りに入っていきました。台本は『たねまきこびとをたすけだせ』という物語。人知れず種を撒いて四季を作っている「たねまきこびと」たちが、春を嫌う「冬の女王」にさらわれてしまうのですが、森の動物たちが力を合わせて小人たちを助け出し、最後には冬の女王とも仲直りをする、というお話です。
2年生ならではの、笑っちゃったり可愛らしかったりするような動きを取り入れたい、という先生のリクエストもあり、劇中に『線路は続くよどこまでも』を替え歌にした『たねまきこびとのうた』と、元々台本に含まれていた『かじる かじる!』という曲を使ってアーティストがダンスを振付しました。『たねまき~』は、小人たちが種をまいている様子を歌にし、劇の最初と、最後には全員で歌い踊ります。『かじる~』は、野ねずみたちが、力が弱いながらも小人たちを助け出すために、自分たちの最大の武器、歯で扉をかじって助け出す、というシーンで使われます。
ダンスの練習は、アーティストもびっくりするほど子どもたちの覚えが早く、1日で2曲の振りを伝えることができました。歌いながら踊るという2つの事を同時にするのは、低学年にはまだ難しいところもあるようでした。それでも、決めのポーズでは、「飛ばなくてもいいよ。」と言っても、自然に身体が動いてジャンプする子どもたち。繰り返し練習を重ねていくうちに、楽しそうに踊る子どもの姿に何度もエネルギーをもらいました。
そしてダンスの振り付けが終わった後は、台本に入っていき、セリフや立ち位置など、アーティストの演出を加えていきました。60人を同時進行はできないので、どうしても待ち時間が長くなる場面もあります。待ち切れずに動いたりしゃべったり、ザワザワする子どもたち。移動の場所やセリフがなかなか覚えられない子もいて、最初はこの先どうなるかと不安になる場面もありました。しかし、先生方のご指導の成果もあり、子どもたちは回を重ねるごと、セリフもポンポンと言えるようになり、ふと気づけば静かに話を聞くことができるようにもなっていました。

実際に舞台の上で練習してみると、大道具や小道具、ひな段の設置の具合によって随時変更が生じることもあります。また、発表時間には限りがあるので、時間内に収めるための演出の変更もありますが、その場その場のアーティストの言葉を聞き、たとえ時間がかかっても、子どもたちは楽しそうに応えてくれました。ワークショップの記録を読み返すと、アーティストが、細部までより作品を良くするためにどれほどたくさんの演出を加えたかに驚きます。そしてそれほどの演出でも、子どもたちはいつも元気いっぱい、一度も嫌がることなく毎回毎回楽しく練習に参加していたことも驚きでした。
セリフをただ話すだけでなく、くま、さる、野ねずみ、うさぎ、りす、きつつき、きつね、たぬき、ふくろう、冬の女王、北風のせい、雪ひめ、さばくの王子、とうい一つ一つの役にあった身振り手振りと衣装も工夫しました。どんな状況でのセリフなのか、どんな性格の役なのかをよく表した、とても面白い工夫が子どもたちからもたくさん出てきました。そうして、どんな役になった子も、一人ひとりがキラキラとした存在感を放つようになったのです。

アーティストは毎日学校には通えないし、限られた日数の中でしか練習に加わることができないので、アーティスト不在の日も先生と子どもたちに頑張ってもらうしかありません。きっと学芸会の練習の時数も限られている中ですが、大道具や小道具も先生と子どもたちの作品です。野ネズミがかじったことが分かるように穴のあく扉や、草と雪なども舞台を盛り上げる大切な作品。初めて使用する時に、「作ったよ~!!」と、嬉しそうに自慢げに見せに来た子どもたちにまた顔がほころびました。
そうして日々はあっという間に過ぎ、いよいよ本番です。まだまだ練習が足りてないところがあるかもしれない、もっともっと加えたい演出がある、アーティストも様々な思いを抱えての本番だったと思います。見守るスタッフもドキドキとワクワクで胸がいっぱい。これまでの過程を知っているだけに、発表だけを一つの作品としてみるのは至極困難で、一瞬一瞬、「初日は○○だった子が、あんなに!」などという思いがこみ上げてきます。セリフの間が空いても子どもたち同士で声かけをしたり、「フォーメーションフォーメーション!」囁きながら立ち位置に走って移動したり、一生懸命な子どもたち。観客もいつの間にか引き込まれて楽しそうに見てくれていました。
「種とは育つものであり、育てるもの。子どもたちはその両方をこのかわいい台本から自由に読み取り、奇想天外な方向へと撒き散らしてくれます。まっすぐ伸びる芽…クネクネ育つ芽…寄り道する芽…正解のない育ち方。子どもたちがどんな花を咲かせるのか楽しみです。」というのは当日パンフレットに寄せたアーティストの言葉です。

本当に60人一人ひとりが個性豊かで、毎回会うたびに、飽きずに何度もアーティストの名前を連呼したり走り寄ったり、熱烈な歓迎をしてくれる楽しく面白い子どもたちでした。この出会いを通じて、アーティストと子どもたち、先生が協力して一つの作品を創り上げていったことが、一人ひとりの心の中に、これからもずっと何らかの形で残っていってくれたら、そしてみんながこれからも素敵な花を咲かせてくれたら、と願っています。
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スズキ 拓朗(すずき たくろう)/振付家・ダンサー・演出家
http://www.children-art.net/suzuki_takuro/

秋になり、当NPOでは連日様々な現場でワークショップが行われ、いろいろな出会いが生まれています。ある11月の晴れた日に行われた保育園でのワークショップの様子をレポートします。この日のアーティストは外村友紀さん(造形作家・ こどもワークショップ空間Yellow Pony主宰)。子どもへの声かけがとても丁寧で、カラフルな造形の世界を広げて下さるアーティストです。

5歳児クラスで行ったワークショップは、3歳のころから子どもたちが交流を続けているという「マジョリン」というお友だちがモチーフです。子どもたちはまだ「マジョリン」の姿を見た事はありませんが、日頃からお手紙やプレゼントのやり取りをしているそうです。今回は、忙しくてなかなか会えない「マジョリン」のために、お友だちを作ってあげよう!という設定でワークショップを行いました。先生がとてもうまく子どもたちに話をして下さったので、始まる前から「お友だちを作りたいです。」と外村さんに言いに来る子もいました。
そして、いよいよワークショップの始まりです。いつもとは違い、ホールに並べられたカラフルな画材をみて、何が始まるのかワクワクと緊張が混じった様子の子どもたち。外村さんが見本の作品を見せると「ワアーッ」「すごおい!」と歓声が上がりました。そして早速制作スタートです。ミカンのオレンジネットに、好きな色のセロファンを選んで入れて、後はフェルトで顔や髪の毛、服やリュックなど思い思いに装飾していきます。自由に作る事にとまどいがある子もいますが、アーティストの声かけや、先生が「正解はないからね。なんでも良いんだよ。」という言葉かけをして少しずつでも作業をすすめています。輪ゴムを止めるのが難しかったり、フェルトが切りにくかったり、手助けが必要な場面でも子どもはなんとか頑張ろうとし、アーティストもアドバイスを繰り返して、良い雰囲気の中子どもたちは集中して制作に取り組みました。マントを付けたり、スパンコールをカチューシャにしたり、背中にも顔を作ったり、侍をモチーフにしたりと子どもたちの発想はとどまるところを知りません。

マジョリンの友だちが完成したら今度は、その友だちがいられるようお部屋をつくります。プラスチックの段ボールに、セロファン、透明折り紙、色画用紙などを切り貼りして、グループ毎にイメージの世界を広げていきました。海に大きな家、人魚に太陽、みんなで一つの作品が出来上がっていきます。グループ毎の作品が出来るとそれを組み立てて家にしてライトアップ!!「ワアーッ、すご~い!」と大喜びの子どもたち。家に友だちを飾った後は、最後のお楽しみ。先生が持ってきてくれた、子どもたちが3歳の時に「マジョリン」からもらったという、「魔法の粉」を振りかけました。「マジョリン来て下さい!」「お願いします!!」とみんな気持をこめてお願いする姿には大人も感動です。
最後には、「先生(家を)どこに置くの?」「あれを見ながら寝るのはどう?」「あそこで本を読むのはどう?」と聞く子どもたち。「マジョリン」を巡る物語の中で想像力を思う存分広げた子どもたちの姿に、アーティストもスタッフも始終顔がほころびっぱなしの一日となりました。

終了後の先生のお話では、作品の顔が作った子どもの顔に似ていたということや、大胆に制作できた、などの感想をいただきました。どんどんアイデアを出していける子と、アイデアを出すのに時間がかかる子など個人差はありますが、一人ひとりの作品はどれも素敵な「マジョリン」のお友だちとなりました。
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外村 友紀(とのむら ゆき)/造形作家・ こどもワークショップ空間Yellow Pony主宰
http://www.children-art.net/tonomura_yuki/

110921 056aa.jpg 10月13日に、都内のとある幼稚園において石坂亥士さん(神楽太鼓演奏家・踊るパーカッショニスト)のワークショップが開催されました。ここの幼稚園の特色は外国人の子どもたちが多いことと、日本人の子どもたちも海外に暮らした経験のある子が多いということで、それだけに日頃から一人ひとりの個性を重んじるように心がけているという、公立幼稚園ではちょっとめずらしいケースの園でした。
亥士さんのタイコワークショップは9月に引き続き2回目となるこの日、子どもたちは亥士さんを見つけると友だちを見つけたかのようにフレンドリーに話しかけたり、答園してすぐにタイコをたたきにやってくる子もいたりして、とてもなごんな雰囲気ができていました。「ここの子どもたちと亥士さんとの相性がとてもいい」と言う副園長先生の言葉通り、子どもたちと亥士さんのフィーリングがぴったりくる様子がいち早く感じ取れました。
亥士さんが持ってきてくれたのは7つのタイコ(西アフリカを中心として普及している民族打楽器のジャンベ)と、ネパールのドラゴンボール(龍の絵が描かれた金のボール。宗教的な儀式に使われるようなもの)。ジャンベにはすでに慣れている様子の子どもたちは、亥士さんがジャンベを叩きはじめるとすぐさま足を動かします。彼らのコミュニケーションはとてもすばらしく、ただバタバタ足踏みしているだけではなく、亥士さんが叩くジャンベの音をよく聴きわけて、音に合わせて動いているのです。ウォーミングアップをして身体があたたまったら、ドラゴンボールというめずらしい楽器を子どもたちに紹介しました。ネパールの楽器ですが、お寺の読経の際にみかけるものに少し似ています。ボール状になっている金の淵を棒で叩き、グルグルなぞるように淵をこすると音が膨張し、ボワボワ~~ンという、聞きなれない不思議な音が出るものでした。子どもたちはその音色に大変な興味をもってなんでそんな音がするのかじっと見つめていました。
通常、園児にとって1時間はけっこう長いもので、場合によっては集中力がもたない場合もあるのですが、ここの子どもたちはほとんどずっとタイコにあわせて身体を動かしぱなしで、途中集中力が切れることもなく、本当に心から子どもたちみんながタイコを楽しんでいるようでした。とくにはまった男児の一人は、途中から亥士さんのタイコを借りて、セッションを始めるほど。その叩き方は驚いたことにちゃんと亥士さんの叩く音とマッチしていて、将来ミュージシャンになるのでは思われるほどでした。
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石坂亥士(神楽太鼓演奏家・踊るパーカッショニスト) http://www.children-art.net/ishizaka_gaishi/

IMG_5427aa.JPG 9月頭、まだ夏休みが明けたばかりの幼稚園で新井英夫(体奏家・ダンスアーティスト)さんによるワークショップが行われました。クラスが4歳児と5歳児に分かれているので、それぞれ1回1時間程度。新井さんの狙いは、ダンスをするというよりも、いつも当たり前のように動かしている身体を、今日はちょっと意識をしながら動かしてみようともの。タイコを鳴らして挨拶をしたり(子どもたちはタイコの音に何かしら反応して”答えようと”するもの)、金のボールをコン!と叩いてその音にあわせて全身の力を抜いて倒れてみたり、目をつぶってタイコの音に耳を澄ませどこから聞こえてくるか当ててみたり、音をたてずに新聞紙を持ったまま動いてみるなど、色々な小道具を使って感覚を刺激する試みを色々とやってみました。
幼稚園の先生の話では、はじめて会う人やはじめてやることに拒否感を覚えてしまう子が数名いるということだったのですが、先生たちも子どもたちの中に入り、子どもたちと一緒に楽しんでいたことも奏功して、誰ひとり脱落する子や拒否反応をしめす子はいなくて、始終子どもたちの集中がとぎれることなく、身体を動かすことを楽しんでいました。
終了後先生にお話を聞いたところ、普段先生にピッタリくっついて来る子はいないのに、ワークショップで身体と身体をくっつけることが多かったせいか、教室に戻ったあと子どもたちがワーッと先生の身体にしがみついてきたそう。スキンシップは信頼関係への第一歩。より一層先生とのつながりが深まったことと期待しています。
この日は第1回目。11月には2回目が開催される予定です。
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新井英夫(体奏家・ダンスアーティスト) http://www.children-art.net/arai_hideo/

いつのまにやらもう春ですが、年初めのASIASは、
巣鴨小学校の5年生29人(女子20人と男子9人)と写真家の梅佳代さんの授業でした。
以前から個人的に好きな作家さんで、当日を子どもたち同様に楽しみにしていました。
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当日の打合せでは少々緊張気味だった梅さんも、教壇に上がるとそれまでの迷いなどは一切感じられないほどの余裕で自己紹介。有名人との仕事の話になると子どもたちからも喚声があがり、それを楽しむかのように、「すごいやろ!」「すごーい」。「今の『~やろ』ってことで、出身地はどこでしょう?」「大阪!」「ブー!」色々な県名が出たがなかなか当てられない。そこで、手で県の形を作って見せると、即「石川県!」ご名答。このやりとりが子どもたちとの距離を一気に縮めたようだった。
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授業は、おおまかに言うと、一人1台ずつレンズ付きフィルム(使い捨てカメラ)を渡し、 クラスメイトの写真を1枚ずつ撮っていく、といういたってシンプルな内容。
梅さんからのリクエストは「カメラ目線で」 「1枚につき一人ずつとる」というもので、これまたシンプル。時間にも余裕があるし、あっさり撮り終えるのでは、という心配も正直なところあった。
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最初はサクサクと友達(同性)同士で写しあい、なにやら和気あいあいの様子。女子は背景にまで凝りはじめ、男子はおふざけ全開の者もいて大興奮状態に。図工専科の庖丁先生も梅さんも、彼らに混じってシャッターを切る。
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しばらくすると、教室内の空気がさっきと違ってきた。見れば、教室のまんなかを境に、男女別になっている。このクラスは男子が少ないので、同性同士の撮影会は男子の方が早く終わってしまう。まず男子側から女子に「撮影許可」を得ないといけない、というわけだ。「おい、おまえ先行けよ」「何だよ!?根性ナシがっ」 という男子のヒソヒソ声が隅のほうから聞こえてきた。振り向けば教室の隅に男子全員が貼りついている。写真を撮るという行為によって、普段よりも被写体を意識することになる。彼らにとってはこの授業は「照れ」の増幅装置となったわけだ。見ているこっちまで恥ずかしくなるような、そんな甘酸っぱい空気を含んで、少しずつ混ざり始めたが、それでも、なんとなくぎこちない。もしかしたら、当の子どもたちよりも、見ている大人たちのほうが楽しんでいたのかもしれない。
 ~ 次の週、現像上がり。
彼らにとって、カメラといえば「デジカメ」である。通常自分の撮った写真を見るのに時間を要することはないだろう。出来ばえはどんなだろうか、どんな顔で写っているのか、この“わくわく感”はフィルムカメラでないと得られない。
さて、図工室にやってきた彼らからは、先週の甘酸っぱい雰囲気はみじんも感じられなかった。ものの見事に、である。ふつうのお転婆でお笑い大好きな小学5年生だ。
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今日の流れは 撮影した写真の中から、自分のお気に入りの1枚を選び発表し、ファイルに収めるという内容だ。丁寧に選び出された1枚を大型モニタに映し、梅さんが一人ずつ講評していく。講評というより、一緒に楽しんでいる風だ。選んだ理由がそれぞれ思いもよらないヘンテコな理由である。うしろに写っている人や物までも、選ぶ理由になってしまうのだ。それらをひとつひとつを受け止めるように進行してゆくのだが、飽きることはない。たっぷり1時間も他人の作品を見る、ということは5年生とはいえ容易ではないはずなのだが、和やかな空気は崩れることなく最後の一人までみることができた。そのせいもあり、後のファイリングの時間が少し短くなってしまった。
そろそろチャイムが鳴る頃だというのに作業中の子が大半だ。一応の区切りとして梅さんの終わりの挨拶「写真を撮るとき、1対1になるやろ、そこで愛がうまれるんやよ、(ぼそっと)まあ子どものうちはわからんやろけどね。」・・・一同きょとん。いつかわかるときが来るかもしれないが、その頃に何人が今日のことを覚えているのだろう。記念として、ファイル1つ1つに梅さんがイラスト入りのサインをサービス。そのファイルを見たら、「愛」の話のこと、思い出してくれるだろうか。
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ワークショップ後の梅さんの話が印象的だったので追記すると、(時間が足りなかったが)この授業で一番重要な部分は、「1枚1枚写真をみながらファイルに収めるところ」であり、「写真の中の友達と目が合った時にさらに“愛”が深まる」とのこと。梅さんがデジカメでなくフィルムにこだわるのはまさにその部分で、加えて、デジカメでは削除されてしまうような「失敗作」の中に大事なものが納まっていることがあるそうだ。
偶然にも私は2度も写真のワークショップに立ち会っている。写真はその人(撮影者)をストレートにあらわすものであり、写真によって、アーティストの個性が子どもたちにそのまま伝わり、子どもたちも自分をストレートに表現でき、自然と仲間に興味を持つことができる。作品鑑賞に1時間もの集中力を維持することができるのは、他者への興味に他ならない。ASIASではあまり行われないジャンルのワークショップではあるが、これからもさらに多くの写真家と子どもたちとの出会いに期待したい。(事務局・田村)

今日は千代田区にある保育園の園庭での造形ワークショップ。
園からのリクエストは、子どもたちに、絵の具を使って、大胆に絵を描かせたい、というもの。
担当するアーティストは、深沢アート研究所のカブさん。いつも、遊び心のある仕掛けで、子どもたちをワクワクさせてくれます。
これまでも、3歳児、5歳児を対象に、年齢に合わせた様々な仕掛けで、ワークショップを実施してきましたが、今日は4歳児。お天気も良かったので、計画通り園庭のジャングルジムを紙で包み、そこに絵の具で絵を描くことに。
はじめは、園庭が見える室内で。
最初は、カブさんがひと型に切っておいた画用紙にクレヨンで絵を描きます。
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グリグリとひたすら塗りつぶす子もいれば、おじさん(?)を描いたりする子も。
みんな、カブさんに見て欲しくて、カブさんの周りに集まります。
「じゃあ、今度は外のジャングルジムに、みんなが描いた『ヒト』がいるお家とかを描いてみよう!」
カブさんの声で、みんなで外に飛び出します。
4歳児は、まだ絵の具にそれほど慣れているわけではありませんが、今日は外で、しかも、筆だけではなく、ローラーやハケまで使って描くのです。子どもたちは大興奮。届かないところは、低い足台の上に乗って描いていきます。
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とにかく、絵の具を塗ることを楽しむ子もいれば、家のかたちを描く子、「これはドアで・・・」と、ジャングルジム全体を一つの家に見立てて描いている子もいます。そして、自分のつくった紙人形を、自分の好きな場所に貼っていきます。
絵の具が混ざってしまうと、色の鮮やかさが失われていくので、今日は絵の具を混ぜずに描くことに。
保育園の先生たちとボランティア・スタッフは、絵の具コーナーで大奮闘!
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途中、カブさんが木型に切った画用紙を「好きなところに貼っていいよ」というと、「これは、あの木(園庭の柵の外にある木)が写っているところ!」と、ガラス窓をイメージして貼っている子もいました。
終わりに近づいた頃には、脚立を使って、ジャングルジムの一番高いところにも、絵を描くことに。
外で絵を描くのもはじめてなら、脚立にのって絵を描くのもはじめてです。
高いところに、最初はちょっとドキドキしても、すぐに慣れて、まだ白い場所にところに、気持ちよさそうに塗っています。
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見慣れたジャングルジムが、カラフルなオブジェに変身しました!
「子どもたちは、きっと今日のことを、お家でもお話することでしょう」と園長先生もおっしゃっていました。

朝日新聞の日曜教育面のコラム「あめはれくもり」にて、芸術家の子どもたちの活動の中で出会った子どもたちの姿を、9月23日より4回シリーズで連載しています。
このブログ内ではあまりお伝えできていなかったエイジアス(学校にアーティストが出かけ、先生と協力しながらワークショップ型授業を行う)の風景をご紹介できれば、と思います。
以下、掲載コラムの転載です。
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朝日新聞 2007年9月23日朝刊 25面 「あめはれくもり」
「子ども+芸術家=?」 堤康彦
「とんぼざくら」
このまちのおすすめスポットを尋ねた観光客役のスタッフに、小学6年生の男の子が答えた。「えっ、なにそれ?」。話を聞くと、団地の公園に夕方とんぼがたくさん集まり、夕日にあたって金色の桜のように見える。その風景を彼が名づけたのだという。
昨年11月、東京都練馬区内の小学校で行った、美術家・岩井成昭さんのワークショップでの一場面だ。テーマは「ツーリストインフォメーションセンターをつくる」。小学校は大規模団地にあり観光地ではないが、もし旅行者がきたら、自分のまちの魅力をどのように伝え表現するか。子どもたちは、自分なりの視点でまちを見直し、物語にしたり、造形作品にしたり、粘土を使ったクレイアニメにしたりした。
ワークショップ型の授業を提供する活動「エイジアス」を私が始めたのは7年前だ。音楽、ダンス、美術、演劇など様々な分野の現代芸術家を小学校に派遣し、先生と協力して授業をつくる。いまの社会を強く意識しながら、新しい価値や表現を生み出す創造のプロフェッショナルである芸術家。彼らが子どもたちに出会うとき、毎回様々な化学反応が起き、子どもたちは得がたい何かを学ぶ。
少子化や情報化などで大きく変化する現代社会で、子どもにとって切実に必要な学びは何なのか。私はそれは、アートによる学びであり、創造的な教育であると確信している

◇つつみ・やすひこ 10年間のサラリーマン生活を経て、01年にNPO法人「芸術家と子どもたち」を設立。42歳。